すごいすと取材記

認定NPO法人放課後遊ぼう会 理事長足立典子 さん(53) 兵庫県

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自由な遊び場は自分たちの手で

遊び場を作る上で肝心なことは、“自由な遊び”ができることと、いつ誰が来ても遊べるよう毎日開かれていることの2点だと足立さんは語る。

 

その2点だけを念頭に置き、他は何もかもゼロからスタートさせた13年前。

とにかく場所が必要だと考えた足立さん。思いっきり体を動かせるだけの広さがあり、子どもたちだけで通える場所として思い当たったのが、小学校の校庭だった。早速校長にかけあい、校庭などの使用許可を得るとともに、それを使った「遊び場」についての了解を取りつけた。

しかし、せっかく用意した「遊び場」も、スタート当初は平均して10人ぐらいの児童の参加にとどまった。

「学校から許可をもらって開催していても、保護者の『行っておいで』の一言がないと子どもはなかなか来られない。保護者に私たちの思いを理解してもらうため、毎月、保護者あてに遊ぼう会のニュースレターを発行しました」

毎月の予定だけでなく、保護者の理解を得るため、遊びの必要性や「遊び場」のしくみも紹介した。

「初めの頃はいろいろな誤解もあって、託児所のように思われていたこともありました」

いいように使われているだけだと、心配してくれる人もいたという。

発行されているニュースレター

現在でも毎月発行の通信。紙面のトップは「自分の責任で自由に遊ぶ」の文字。

わかりやすいイラストは足立さんが描いたもの。

3年目には、県の「子どもの冒険ひろばパイロット事業」に採択され、遊び場をサポートするプレイリーダーを配置できるようになった。これにより本格的に毎日開催の体制が整った。利用する子どもが増え、徐々に放課後の居場所として認知されるようになる。

さらに地域の理解を得るためには、遊ぼう会が何者なのかを知ってもらう必要があると思った足立さん。

「きちんとした信頼関係を築くために、自分が地域の活動でも汗をかくようにしました」

地道に築いた信頼関係の上で、なぜ子どもたちにとって遊び場が必要なのかを説明して回った。

毎日の開催を続ける中で、次第に保護者の参加も増え、やがて遊び場運営のお手伝いがPTA活動のひとつになるほど、保護者やPTAに浸透していった。

2年間のパイロット事業の終了に伴い、活動体制の維持が危ぶまれた時は、毎日開催の体制が続けられるよう、PTAによって市議会へ請願活動まで行われた。

平成19年、宝塚市が放課後の居場所づくりに取り組む「宝塚市放課後子ども教室事業」がスタート。遊び場の開設に対して、一年ごとではあるものの、活動に応じて委託金が受けられるようになった。また他の校区でも遊ぼう会として遊び場を定期的に開催する契機にもなった。

活動が膨らんだ平成22年には、運営体制を整えるためNPO法人格を取得。

現在では、仁川小学校を含めた6校で定期開催の遊び場を開催。3人で始めたこの活動も、平成24年度は年間で延べ2,000人を超える人がボランティアスタッフやプレイリーダーとして関わる大きな活動になった。その他にも、市立小学校24校の内、半分以上の小学校に遊ぼう会のスタッフが遊び場開催の支援に出向く。

木製ブロックカプラ

組み立てることで様々な造形が生まれる木製のブロック〝カプラ“。出張の遊び場でも用いられる。

平成21年に仁川小学校PTAが実施したアンケートでは、「遊ぼう会に参加したことがある」児童の割合は88%だった。

保護者からも、安心感がある、違う学年とのふれあいがあってよいという感想に併せ、何かできることがあればしたい、今は無理でも退職したらお手伝いしたいのでそれまで続けてほしいといった声が続々と集まった。

「がむしゃらにやってきたので、こうした声をもらえたのは本当に励みになりました」と足立さんは微笑む。

またこの年には、文部科学省の「放課後子ども教室推進表彰」も受けた。全国で類を見ない成功例として、事例発表を見た他府県の担当者から、参考にしたいと質問が相次ぐほどだったという。

養成講座の様子

以前より仁川まちづくり協議会やスポーツクラブ21 仁川から施設や倉庫の無償貸与などの支援を受けていたが、数年前からはさらに自治会の力強い協力もあって地域の方から寄付も寄せられるようになった。

こうしたことを受け、遊ぼう会では、平成24年に県内でいち早く認定NPO法人格も取得。遊ぼう会に寄付を行う時、寄付者が税制控除を受けられるような体制を整えた。

「今は全てが寄付によってまかなえるわけではありませんが、活動を続けていく上での大きな力になることは間違いありません」

活動開始から13年、遊ぼう会の活動は地域に根付き、地域が一体となって子どもたちを支える活動へと進化を続けている。

遊ぼう会の運営会議

遊ぼう会の運営会議。この日はインフルエンザでの学級閉鎖時の対応などが議題にあがった。

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