すごいすと取材記

淡路人形座坂東千秋 さん(55) 兵庫県南あわじ市

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原点を守りながら工夫とともに変化する、それが伝統

「伝統とは、その時その時の時代に応じ、工夫を重ねてきたもの」と話す坂東さん。それを実感したのが、きつねが何度も早替りを行う演目を上演した時のことだったという。
「衣装の色が赤や緑で『当時は生地が豊富になかったので、こんな色になったのだろう』としか考えず、落ち着いた色に作り替えてみたら、衣装の変化が客席に伝わらなかったんです。」
長く演じられてきた歴史の中で工夫を重ねた結果、たどりついた色が赤や緑だったのだ。
「衣装に限らず、昔からあるものを古臭いと軽んじがちな現代ですが、何十年、何百年もの繰り返しの中で研ぎ澄まされてきたものが伝統であり、その地域に育まれた風土から生まれ、地域の習わしを知るうえで最も大事なものが文化なんです。」と語る。

 

西宮の百太夫という人が約500年前に淡路島に伝えた “式三番叟”(昔は淡路人形座の公演の前、舞台を清めるために必ず上演された)

 

「『自分たちの生まれ故郷には、こんなお国自慢があるんだ』と紹介してもらえる淡路人形浄瑠璃でありたい。地域の特性は、郷土愛にまっすぐ繋がるものです。だからこそ地元地域の方々にも、大切なものだと意識していただける活動をしなくてはいけません。先人たちが苦労を重ね、時代を乗り越え守ってきたものを絶やさないようにと思っています。」
伝統を守ることとは、原点を大切にしながら時代に合わせ変化すること。坂東さんの淡路人形座での35年間を支えてきたものは、この想いだった。

 

2019年1月2日、淡路人形発祥の地、南あわじ市市三条の麻積堂(三条八幡神社脇宮)において淡路人形座の座員による三番叟を奉納

 

受け継がれる伝統(人形の頭の毛を結う髪結い。役によって髪型を次々変えていく、髪結師)

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