すごいすと取材記

株式会社 ビトーアールアンドディー代表取締役社長美藤定 さん(62) 兵庫県

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ふるさと豊岡でチャレンジ

「豊岡を出て世界を見たおかげで、自分と豊岡に不足しているものがわかったし、逆に可能性もはっきり見えた」

豊岡には工業集積や加工を依頼する下請け企業が少なく、交通アクセスも良くない。しかし、都市部に比べて同業他社が少ない分、業界の通念を覆すような思い切ったチャレンジに対して批判的な声が上がることも少ない。静かな環境の中で製品の研究開発に専念できるメリットは大きい。

そして何より、生まれ育った風土の中で、日本人であることやその感性のすばらしさを全身で感じながら暮らすことができる。

最初は製品を作る前の工作機械から自分で作らなければならなかった。しかし、そういったノウハウの積み重ねが、すべて今の仕事に生きている。

「厳しい気候風土も、常に戦わなければならない自分にはかえって良かった。イージーな場所ではそのイージーさが標準になってしまいます。それでは世界に挑戦なんかできません」

美藤さんの豊岡でのチャレンジは、平成11年に販売を開始した二輪用鍛造マグネシウムホイール「マグ鍛」として実を結ぶ。

それまで、レース用として使われていた鋳造製のマグネシウムホイールは、急制動と急発進を繰り返すレースの世界では軽さを誇り理想的な素材だったが、金属組成が粗く強度面で問題があることなどにより、市販には大きなハードルがあった。

美藤さんはそれを鍛造製にすることで、金属の密度を高めて強度の問題をクリアし、市販にこぎつけた。

現在、BITO R&Dの「マグ鍛」には、海外からも引き合いが殺到している。

二輪用鍛造マグネシウムホイール

世界で初めて市販用に開発された二輪用鍛造マグネシウムホイール「マグ鍛」(MAGTAN)

BITO R&Dの工場

豊岡市奥野にあるBITO R&Dの工場。手前はチューンアップした美藤さんの愛車

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