すごいすと取材記

空き缶でもうけてもええ会事務局長千種和英 さん(46) 兵庫県

ギャラリーを見る

まちを襲った水害

平成21年8月。突然、佐用町が大きな水害に見舞われる。兵庫県西・北部豪雨水害だ。

記録的な大雨で佐用川が氾濫。まちの中心部へ水が流れ込み、広範囲に渡る浸水を引き起こした。死亡者18名、行方不明者が2名、全壊半壊あわせて891棟に及ぶ甚大な被害をもたらすことになる。

壊滅的な被害を受けた佐用町

水害の当日、千種さんは神戸市新長田の商店街にいた。第一報は消防団からの出動要請。妻と連絡がつき、家に水が入ってきたと知る。車を飛ばして佐用へと戻った。近くの高台までたどりついたものの、水が引くまでは危険だと止められる。妻や子どもたち、両親が待つまちへと入ることは許されなかった。

 

夜中になり、やっとまちに入ることができた千種さんが目にした光景。

街灯も消え、真っ暗なまち。どこかから流れ着いたたくさんの車がひっくり返り、ショートして火花が散っているものもある。水が入りこんで故障しているのか、延々とクラクションが鳴り響く。

「辺り一面臭いもひどく、とてもこの世のものとは思えないような異様な光景だった」

とにかく第一に考えたことはガス漏れが起きていないか。自分のお客さんであろうがなかろうが、同業者同士声を掛け合いながら暗闇の中を歩いて回った。

 

やがて白々と明けていく空。明るくなってみれば、店舗を兼ねた我が家は一面の泥に覆われ、大規模半壊。外に出てみれば街全体が壊滅状態となっている様子が改めてはっきりと見て取れた。

「2~3日の間、泥かきを続けたけど一向に先が見えない。何もかもが泥にまみれ、水に浸かったところすべてに泥が入り込んでいた」作業はいつ終わるのか、暗澹たる気持ちになったという。

 

そんな千種さんを救ったのが、全国各地の仲間たちからの励ましの声だった。

佐用を盛り上げたいと活動を続けてきた10年の間に千種さんが出会ってきた多くの人たち。場所は違えど、まちへの愛を熱く語り合い、それぞれの現状の厳しさに一緒に頭を悩ませ、必要ならば知恵を出し体を動かし、汗をかき手伝いあってきた仲間たちだ。

「お前しかできないことがある。お前の役割を果たせ」叱咤激励の声に、千種さんは自分を奮い立たせる。千種さんは家の復旧作業は家族や知人に任せ、地域のために動くことを決めた。

 

続々と到着するボランティア、物資や義捐金。それぞれがうまく配分されるよう、町外からの問い合わせで鳴り止まない電話を手に、地域のコーディネイター役として奔走した。

がれきを片付けるボランティア

1 2 3 4 5