すごいすと取材記

佐治倶楽部事務局出町慎 さん(34) 兵庫県

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自分たちの居場所は、自分たちでつくろう!

関わり続ける定住は、大学の活動拠点となる空き家を借りることから始まった。そこで出町さんが最初にしたのは「何もしないこと」だった。
「何の提案もせず、あちこちへ出かけていろんな人と話をしただけでした。まず地域のことを身体で感じた上で、地元の人と一緒に考えながら意見を出すことが大切だと思ったんです。」
草刈りなど日役に参加することで、地域に少しずつ溶け込んでいく。そのうち徐々に理解が拡がり、自分の住んでいる地域を良くしたい、楽しくしたいと思う人が集まり始めた。
「佐治に来たばかりの頃、地域のことを知りたくて小学生に話を聴くと『川で遊んじゃだめ』『通学路じゃない道は歩かない』『将来は大阪や神戸に住みたい、だってゲームセンターがあるから』って言うんです。衝撃でした。都会は優れていて、ここは劣っているという感覚が、子どもたちにあったんです。やばいと思いました。」
空き家活用の理想は、地元出身の人が戻ってくること、ここで暮らしていきたいと思えること。このままでは子どもたちが地元に住んでくれないと感じた出町さんは、空き家の改修に子どもや大人にも参加してもらうことにした。

佐治スタジオの改修は学生をはじめ、地元の子どもから大人まで参加した。

佐治スタジオの改修は学生をはじめ、地元の子どもから大人まで参加した。

「みんなの居場所、ひみつ基地をつくったらどうだろうって。」
幼い頃のひみつ基地づくりが、誰と、どこで、何をしたかという鮮明な記憶を誰もに残したように、自分たちの場所を自分たちでつくれば、まちへの愛着が深まるきっかけになると考えた。
こうして学生、子ども、大人、みんなで取組んだ居場所づくり。本当に、地元の人がやって来た! 交流会が開かれた! 卒業した学生たちが帰ってきた!
「これが建築なんだ、これが空間をつくることなんだと、楽しさでいっぱいでした。」
地域の人も巻き込めば、おもしろいことが起こっていくのは間違いないと確信した。こうして完成した「佐治スタジオ」は、予想もしなかったさらなる喜びを生むことになった。

現在、バス停の案内に表記されるほど地域に根付いている。

現在、バス停の案内に表記されるほど地域に根付いている。

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