すごいすと取材記

NPO法人ひょうご森の倶楽部 理事福田正 さん(74) 兵庫県

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川の水が飲めた少年時代

少年時代に明石港から垂水まで泳いでいた福田さんは「竜宮城が見える気がするくらい海がきれいだった」という。神戸市の御影で産湯代わりに宮水を浴び、小学校2年生からは舞子で暮らした。当時の舞子は、山で口笛を吹けば鳥が寄ってきたり、山田川の水を飲んだりできる環境だった。

結婚し、父親となった福田さんは、子どもたちも自然の中で成長させたいと、昭和52年、三木市に引っ越した。1歳の時に脳腫瘍で「95%厳しいと告げられた」手術を乗り越えた、長男・隆廣さんが幼稚園の頃のことだ。裏庭から虫の音が聞こえ風が通り、持ってきたエアコンを何年も使う必要がなかった。

福田さんのアルバム

昭和30年代、兵庫の山々で自然を満喫した福田さんのアルバム

福田さんが森に強い関心を持つようになったきっかけは、釣りを楽しむ海で不安を抱いたことだ。全日本サーフキャスティング連盟兵庫協会のメンバーとして「善意の釣り大会」を毎年開催し、釣った魚をすべて母子寮などの施設に贈っていたところ、釣果が減り、魚種が変わっていくことに気づく。福田さんは、農業雑誌の関係者から「海は陸(おか)が鏡」であると教えられた。整備されていない森から、河川を下り海へ流れる水の質に問題があるというのだ。福田さんの中に、「養分の豊かな水は森で生まれる。森林は地球上のすべての生き物の財産」という意識が芽生えた。

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