すごいすと取材記

NPO法人ひょうご森の倶楽部 理事福田正 さん(74) 兵庫県

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森の大切さを伝える

福田さんは、会社勤めをしながら兵庫県主催の森林ボランティア講座を受け、間伐の意義や技術などを学んだ。平成8年に、講座の修了生有志と兵庫県が「このまま何もしないのはもったいない」と、ボランティア活動団体を設立。現在、会員400名、県下20カ所で活動する「ひょうご森の倶楽部」だ。

平成12年、59歳で退職。勤めの誘いを受けながらも俱楽部の活動のため再就職はしなかった。「定年後も仕事に就いていたら妻にもっと楽させられたとは思うけど、倶楽部を引き受けたからには、という気持ちがありました。年間200日ほど倶楽部に関わる活動をしていたので無理ですよね」と笑って振り返る。

兵庫県漁業協同組合連合会とコープの関係者

グリーンピア三木内の「漁業者の森」を合同で整備する兵庫県漁業協同組合連合会とコープの関係者。福田さんは、整備作業の事前打ち合わせで「参加者のみなさんに、瀬戸内海の漁獲量の安定につながることを認識してもらった上で作業してもらった方がいい」とアドバイス

 

兵庫県が提唱した「県民総参加の森づくり」の目標の1つ、「森林ボランティア育成1万人」を聞いた時、その大きな数字にため息が出たという福田さん。保全活動にとどまらず、人材育成や啓発活動も担うことになる。また、継続してこその整備活動と、会員の経費負担が重くならないための仕組みづくりにも尽力した。平成16年に「ひょうご森の倶楽部」はNPO法人の認証を受け、17年度からは県より受託した森林ボランティア講座やリーダー養成講座の企画運営も行うことになった。

同年から約7年会長を務めた福田さんは、事務処理をしながら、講座や実技指導などの講師として活躍。森林ボランティア団体連絡協議会設立にも力を注いだ。さらに、毎月、三木山森林公園やグリーンピア三木のほか、川西市の黒川地区など県下各地の活動地へ車で2~3時間かけて通い、森林整備に汗を流した。共に奔走した当時副会長の小笹康男さんは「変革期のたいへんな時期に、率先してなんでもこなしていました」と話す。

福田さんは活動を通じて、自身が影響を受けたという、400年も前から海と深く関わる森林は「魚つき林」と呼ばれ、伐採によって漁獲量が減り保護に転じた京都の伊根の例や、カキに悪影響を与える気仙沼湾の変化の原因を追究し、宮城の漁師らが植樹を始めた「森は海の恋人運動」の話を紹介しながら、森を整備することが海の環境を守ることを伝え、聞く人の共感を広げていった。また、黒川地区の活動には「底辺を広げることが大切」と、「山に行く間に1回でも竿を振りたい」という釣り仲間たちを6年かけて説得し、参加してもらった。以降、クヌギの植樹や下刈りなどの育樹活動をするようになり、今年で8年目になる。

「全日本サーフキャスティング連盟兵庫協会」の仲間と家族たち

川西市黒川で伝統の高級炭「菊炭」の原木となるクヌギを植樹する「全日本サーフキャスティング連盟兵庫協会」の仲間と家族たち。「水源の森づくり」として平成20年から毎年3月の恒例行事になっている。支柱は事前にひょうご森の倶楽部メンバーが設置した。

黒川のクヌギ植林の下刈りをする福田さん

酷暑の8月、黒川のクヌギ植林の下刈りをする福田さん。汗だくの作業にも「植物が来年の成長のために根にエネルギーを蓄える夏の1番暑い時に刈ることで、光合成を断ち切り草木にダメージを与えます。我々にもダメージが大きい暑さですが、そういうことを知るとがんばれます」

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