すごいすと取材記

NPO法人ひょうご森の倶楽部 理事福田正 さん(74) 兵庫県

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森づくりは人づくり

実技指導では、植物の紹介など受講者が関心を高めそうな話を交える。除間伐することで林床に光が入り林床の生き物が活発に活動し、刈られた草や落ち葉がたい肥や腐葉土となり、地面がふわふわのスポンジ状になることで雨水を吸うため、土砂崩れなどの防災につながる。「1センチ積もるのに何年かかると思いますか」とクイズを出し、「100年」という正解に受講生が驚く。松田貴子さん(47)は、「技術面以外にも、福田さんの体験談や植物の話が聞けるので分かりやすいし、楽しい」と、修了証を手にした。

ボランティア講座に京都から参加した、環境学園専門学校に通う山本佳奈さん

ボランティア講座に京都から参加した、環境学園専門学校に通う山本佳奈さん(25)。
「こういう実践の機会は貴重です」

活動にあたって心がけているのが「安全はすべてに優先すること」だ。別働隊の伐倒による重大事故を受けて安全マニュアルを改正し、教育を徹底。2年にわたり各活動地に倶楽部の役員がパトロールに出向き意識づけをした。福田さん自身も以前に、振り下ろそうとしたナタが頭上の木に当たってそれたため、左親指の先を5針縫うケガをしたことがある。道路までは山を一つ越えなければならず、常備していたガムテープで止血して心臓より高く手を上げながらの山歩きは、日本の北・南アルプスを踏破した福田さんでも息が切れたという。

AEDを用いた救命救急講習

AEDを用いた救命救急講習をボランティア講座で行うほか、福田さんは冨原均医師ら(左から2人目)と北播磨地域の小中高等学校をボランティアで循環して命の大切さを教えている。

近年では社会貢献の一環で森づくりに取り組む企業が増え、同倶楽部にも協力依頼がある。福田さんは、会社勤めで培った経験をもとに、木を斬る人・指示する人・ロープを引っ張る人ら約5人のチームで役割分担し、同じ目標に向かって一つにならなければ安全に倒せない作業を、仕事にたとえて説く。会社ではトップの方針が各部・各課に伝わって各自が役割を果たし、信頼し合って力が一つになってこそ大きな目標も成し遂げられると解説。新入社員研修の場になることもある森の中で、福田さんの声に力がこもる。

「森づくりは人づくりです」

宍粟市の赤西渓谷「日本触媒・水源の森」

宍粟市の赤西渓谷「日本触媒・水源の森」。新入社員研修などの社員の活動前日に、ひょうご森の倶楽部メンバーが橋を架けるなど準備する。

グリーンピア三木にある神戸製鋼グループの「コベルコの森」

グリーンピア三木にある神戸製鋼グループの「コベルコの森」。放置林だった場所がツツジ(写真左奥)が咲くまでに整備された。別の一画はひょうご森の倶楽部の活動地でもあり、同施設オープン時から知る福田さんは手入れに余念がない。

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