すごいすと取材記

神戸女学院大学教授井上紀子 さん(64) 兵庫県

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体育大学から女子大教授へ

宝塚歌劇の男役を夢見ていた井上さんが進んだ道は「体育の先生」だった。生まれ育った鳥取県から大阪体育大学に進学し、教職課程で学ぶ一方、ダンス部に入部。創立5年の大学だったため、施設や指導者などの環境が整っておらず、学舎の階段の踊り場で練習したり、歌劇を見に行ってヒントを盗んだりした。多忙を極める64歳の今も「あの頃のクラブ活動のハードさに比べれば」と思うと奮い立つという。

スポーツの辛さも素晴らしさも体験した井上さんは、恩師の推せんもあり西宮市の神戸女学院大学で教職に就く。25歳で結婚した際は神戸市に居を構え、二人の息子を育てながら通った。しかし子どもたちが小学校2年生と5年生になったころ限界を感じ、通勤時間を短縮するために大学近くに引っ越した。「手抜きをしない約束だったので、料理はちゃんと作りました」と笑う。文字通り体を育むことに労苦をいとまないのは、体育のプロとして職に就いているからだけではない。根底には20代半ばで一人目の子どもを失った経験があった。

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