すごいすと取材記

神戸女学院大学教授井上紀子 さん(64) 兵庫県

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運動ぎらいの人をなくしたい

昭和40~50年代、アメリカで流行したエアロビクスが日本でもブームになったが、関節に負担がかかるなどスポーツ障害も多発していた。そんな折、大阪体育大学の後輩で芦屋市教育委員会の権藤弘之さんがミニトランポリンを用いての有酸素運動健康法を普及し始め、井上さんも一役担うことになった。昭和60年頃のことだ。 

ミニトランポリンの上では、膝や腰への衝撃が床で運動する際の半分程度に緩和されることが実験でも実証され、効果を感じた井上さんは、県内のみならず故郷の鳥取県まで啓発に出かけた。

「大学を飛び出したことがよかった。理屈でものを言うより現場を見ることが大切ですね」

平成3年、研修に出かけた西宮総合体育館で、大学の1年後輩・古谷久代さんと再会。古谷さんもまた、別のグループで啓発活動を行っていた。この出会いをきっかけに、活動を共にすることになった2人は、後に立ち上げた兵庫県トランポ・ロビックス協会の会長、副会長として活動を展開してく。

トランポ・ロビックスは、幼児から高齢者まで一人ひとりのレベル(個別性)に合わせた動きが楽しめることに加え、短時間で汗をかけるため、メタボリックシンドロームの予防・改善や高齢者施設でのリハビリ運動にも取り入れられている。老老介護をせざるを得ない人や、介護や看護のための退職者が年間10万人を超えることが社会問題になっている現代では、健康長寿はだれもが願うことだ。

「運動がきらいな人は、健康にいいと言っても、失敗を恥と思って体を動かしたがらない。運動への印象を変えることで苦手意識をなくし、運動する人を増やしたい」

右腕が上がらず、膝も痛いが「ここに来ると楽しんでいるみんなにつられて体が動く」という67歳の糸長博子さん(手前)。

右腕が上がらず、膝も痛いが「ここに来ると楽しんでいるみんなにつられて体が動く」という67歳の糸長博子さん(手前)。ミニトランポリンは直径86センチ、28本のコイルばねを使うことで関節への負担が軽減される。通常のトランポリンより感触は硬く、歩いたり走ったりしやすい。

協会副会長の古谷さん(右)はスキー部ノルディック選手として活躍。「棺おけに歩いて入ろう」が二人の合言葉

協会副会長の古谷さん(右)はスキー部ノルディック選手として活躍。
「棺おけに歩いて入ろう」が二人の合言葉

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