すごいすと取材記

NPOひまわり会入江一惠 さん(87) 兵庫県明石市

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生活のすべてを「ひまわり」に捧げて

朝5時の目覚めから、入江さんの一日は始まる。バスに揺られて通う食堂の、厨房に立つのは朝7時。昆布とかつおぶしでとる出汁づくりからスタートだ。
「この活動を始めようと決めた時、自分の生活すべてを投入する覚悟はできていた」と言う入江さん。毎日がひまわり一色の生活だが「それが生きがいであり喜びです。悔いは全くありません」と明るく話す。しかしその一方で、「代表をやってくれないかと頼まれた時は、1カ月考えました」と打ち明けた。
その依頼が届いたのは、高校で家庭科教師を務めた後、短大で調理学や高齢者介護論を教えてきた入江さんが、現役をリタイアし、ゆっくり暮らそうとした矢先のことだった。迷った末、入江さんは代表を受けようと決断する。阪神淡路大震災後の宅老所でのボランティア経験と、福祉の研究で訪れたデンマークで触れた、介護の理想的な考え方に感銘を受け、地元で宅老所を開きたいと思い始めていたからだった。
「個人の尊厳を尊重した北欧の福祉の三原則(*)と、『もう一つの家族、もう一つの家』という考えがドスンときたんです。でも、調理だけでは宅老所の運営はできません。それならと、この依頼を受けようと決心しました。」
平成15年10月30日。団地の角の、元自転車屋の空き店舗。長い間下りていたシャッターが開き、「ふれあい食事処 明舞ひまわり」がオープンした。

オープン当時の「ふれあいお食事処」

オープン当時の「ふれあいお食事処」

*いかに心身が弱っても、①できる限りそれまでの生活が継続されるべきという「人生の継続性の尊重」②生き方や暮らし方は自分で決定すべきという「自己決定の原則」③まだ「できること」を認め評価する「残存能力活用の原則」

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