すごいすと取材記

NPOひまわり会入江一惠 さん(87) 兵庫県明石市

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手から手へ渡すお弁当で、地域の高齢者を守る

「ひまわりの料理は、昔の家庭料理の再現です。有機野菜や減農薬野菜、地元の魚といった食材や、やさしい味付けを大切にしています」と入江さん。食堂を利用するのは、一人暮らしの高齢者を中心に、障がい者からベビーカーを押す若い母親まで、地域の様々な人たちだ。
「地域の人なら誰でも一緒に食べられる『地域食堂』を目指しています。みんなが安心して来れる場所にしたい」と話す。
平成16年1月からは、常連の高齢者が外出できなくなったことをきっかけに配食サービスも始めた。年齢や健康状態に合わせ、ご飯を柔らかく炊き、おかずは細かく刻む。飲み込みやすい工夫や、減塩にも気を配る。できあがったお弁当はカラフルな風呂敷に包まれ、配達ボランティアの手から利用者の手へ渡される。

高齢者には「味付けが濃いと体によくない」と、お弁当は薄味にこだわる

高齢者には「味付けが濃いと体によくない」と、お弁当は薄味にこだわる

利用者の方から提供された、風呂敷で包まれた配食のお弁当

利用者の方から提供された、風呂敷で包まれた配食のお弁当

「お弁当を届けることは見守り活動でもありますから、絶対に手渡しです。でも、一回行っただけでは渡せないことも多いんです。利用者のほとんどが75歳以上の一人暮らし。耳が遠い方には呼び鈴に気づいてもらえなかったり、認知症の方にはドアを開けてもらえなかったり。徘徊者を配食車で追いかけたことや、一日3回立ち寄って夜9時にやっと渡せたということもありました。味噌汁の器を3つも4つも隠されて、一緒に探したこともあります」と笑う。また料理教室にも積極的に取り組み、独居男性に向けた「男性料理教室」は12年目に入った。
こうして年々利用者は増え続け、オープン当初は一日40食の提供だったものが、今では食堂と配食を合わせ一日180食にまで拡大。「こんなに永く続けられ、規模が大きくなるなんて思ってもみなかった」と、入江さんは15年前を振り返った。

包丁を握ったことがなかったという男性も参加する「男性料理教室」はすでに12年目

包丁を握ったことがなかったという男性も参加する「男性料理教室」はすでに12年目

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