すごいすと取材記

シンガーソングライター、防災士石田裕之 さん(39) 兵庫県神戸市

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壁を乗り越え見えた風景

 

ミュージシャンを志すきっかけとなった助け合う喜びを防災というテーマに据え、全国各地での講演や音楽活動に精力的に取り組んできた石田さん。しかし年数を重ねるにつれ、壁も感じ始めていた。啓発のための歌では、防災に関心のない人にメッセージが届かないという課題と向き合っていたのだ。
「もっと広く発信できる力が欲しい」と思っていた頃、転機となる人物が現れた。兵庫県立大学に新設された防災のための大学院「減災復興政策研究科」で、防災減災と音楽の繋がりをテーマに研究していたKAZZさんを紹介されたのだ。
「KAZZさんは、音楽をエンターテインメントとして神戸から発信していたミュージシャン。一緒にやろうと声をかけられたことで、啓発メッセージをエンターテインメントとして届けるため、ポップスの世界で勝負しようと決心しました。」
こうして平成29年、防災減災をテーマにした音楽ユニットBloom Worksを結成。自分たちの音楽をエンターテインメントとして発信し始めた翌年、さっそく手応えを実感することになった。平成30年4月、防災減災音楽フェス「BGMスクエア」を開催。神戸震災復興記念公園を会場に、全国から集まったアーティストたちの演奏をはじめ、マンホールトイレの設置体験や南海トラフ地震で想定される津波の高さ34メートルへのバルーン打ち上げなどを行い、2,000人もの来場者を動員。アンケートに答えた91%もの人々が、防災意識が上がったと回答した。
「ステージに上がった時、たくさんの人たちが笑顔で楽しんでいる様子を目にして感激しました。音楽で防災啓発をやって来てよかったと思えた瞬間でした。音楽フェスには多くの人を心で繋ぐ力があります。いろいろな人が携わることで顔の見える関係が生まれ、いざという時すぐに連絡を取り合える横の繋がりを作れます。それが結果的には共助を生むんです。一緒に歌うことで人と人の風通しがよくなったり、お互いが素直に向き合える。これからも、そんな場を多くの人と分かち合いたいと思っています。」
人と人を心で繋ぐ石田さんの音楽には、もう一つ大切なものを繋ぐ力があった。

 

音楽フェスで助け合い文化を創造したいと、スタートした「BGMスクエア」。「防災・減災を心のBGMに」をテーマに現代版の「お祭り」と位置づけ、地域の繋がり、未災地との繋がりの構築を目指している。

音楽フェスで助け合い文化を創造したいと、スタートした「BGMスクエア」。「防災・減災を心のBGMに」をテーマに現代版の「お祭り」と位置づけ、地域の繋がり、未災地との繋がりの構築を目指している。

 

音楽フェスの実行委員は大学生たちが中心。被災体験がなくても社会活動に意欲的な姿を、大震災の風化を恐れる世代の人々へ伝える架け橋になりたいと石田さんは語る。

音楽フェスの実行委員は大学生たちが中心。被災体験がなくても社会活動に意欲的な姿を、大震災の風化を恐れる世代の人々へ伝える架け橋になりたいと石田さんは語る。

 

 

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