すごいすと取材記

NPO法人 関西芸術文化支援の森 ゆずりは 代表理事和泉喜久男 さん(63) 兵庫県

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若手音楽家を支えるために

音楽教師として17年間教壇に立った和泉さん。教育委員会での勤務を経て現場に戻り、県立西宮高校の校長を務めていたとき、音楽科の教員から「卒業生が大学を出た後、演奏する場が少なくて困っている」という相談を受けた。

一流の教育を受けても、その才能をステージで披露する機会が少ない日本のクラシック界。プロとして一本立ちできるのはほんの一握りだ。この相談をきっかけに、若手音楽家にとって演奏する機会がいかに大切かを改めて痛感した和泉さんは、準備におよそ1年間をかけ、若手の活躍の場を地域で支援するNPO法人を設立した。学生時代に身をもって感じた悩みや、長年音楽教育に携わってきた経験から来る思いにも背中を押された。

関西保育福祉専門学校校長室での和泉さん

ゆずりはのシステムは、会員になって演奏者登録をし、公演やイベントで演奏するといったものだ。設立から3年、当初は14人からスタートした会員も、現在では230人にまで増えた。

「私たちの使命はなるべく多くの若手にチャンスの場を提供すること。音楽家はいくら才能があっても人前で場数を踏まなければいけません」

年1回の「ゆずりはコンサート」、月1~2回の「ホテル北野プラザ六甲荘クラシックライブ」といった定期的な演奏会を中心に、これまで約80回の公演を開催。出演者はのべ320人にのぼる。会員は、ソリストクラスから音楽学科の大学生までと幅広く、出演するためには、理事による事前の技量審査を受けるため、クラシックコンサートとしてのレベルは高い。

定期的な公演に加えて、地域に密着した活動も大切にしている。西宮市内では、楽器店を会場に会員が自主的に企画したミニコンサートを開いたり、自治会や病院のイベントに招かれることもある。県立高校の芸術鑑賞会では、トロンボーン奏者が生徒に直接吹き方を指導し好評だった。聴衆との距離が近い小規模の会は、ステージ上の演奏とは一味違った親しみがあり、地域の音楽愛好家に喜ばれている。

設立4年目に入る今年は、活動の場を阪神間から兵庫県全体、さらには近畿圏に広げていきたいと和泉さんは語る。

演奏会の様子

ホテル北野プラザ六甲荘クラシックライブ

ゆずりはコンサート

県立芸術文化センターで開かれた第3回ゆずりはコンサート

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