すごいすと取材記

ヴァイオリニスト樫本大進 さん(34) 兵庫県

ギャラリーを見る

赤穂・姫路国際音楽祭

欧米で育ち、また演奏家として世界各地を巡ってきた樫本さん。ヨーロッパでは、クラシック音楽が日々の生活に根ざした身近な楽しみとして親しまれていることを肌で感じてきた。

しかし、「日本では田舎に行けば行くほど、クラシック音楽の存在が遠くなる。クラシックは堅苦しいものでも、遠いものでもないと伝えたい。日本でも、クラシック音楽が日々の暮らしや人生にちょっとプラスになる、そんな身近なものになってほしい」

そんな樫本さんの願いがふるさと赤穂で動き始める。

 

平成13年、樫本さん22歳の時のこと。赤穂市市制50周年を記念し、ベルリン交響楽団と樫本さんの共演によるコンサートが開催された。この機会に、樫本さんは20挺のヴァイオリンを市へ寄贈する。赤穂の子どもたちに、一人でも多く楽器に親しんでほしいと願ってのことだった。

 

さらに樫本さんは赤穂の知人たちに夢を語る。「ヨーロッパの各地で開かれているような、そのまちならではの魅力あふれる、市民音楽祭が赤穂でできないだろうか」

そんな樫本さんの思いを伝え聞いた、市内のクラシック愛好家が中心になり、音楽祭開催に向けて熱心な活動が始まる。前例のない催しに、とまどいの声も多かったものの「一流の音楽が、ランチ代程度で気軽に楽しめる音楽祭を」という樫本さんの夢は、賛同者を増やしていく。

 

そして平成19年、市の協力や企業・個人の協賛を得て、音楽祭の開催が決定。

コンセプトは『一流の演奏家による室内楽を市民が気軽に楽しめ、奏者と聴衆の距離の近い音楽祭』。樫本さんが直接呼びかけをすることにより、出演者が無償で出演してくれるということもあり、入場料は日本で行われる室内楽のコンサートとしては異例の1,000円。舞台として市内のコンサートホールだけでなく、赤穂城跡に特設野外ステージも用意された。

こうして樫本さんを音楽監督に迎え、今までにクラシック音楽に触れたことがなかった人も気軽に足を運べるような「赤穂国際音楽祭」が実現したのだ。姫路市からも賛同を得たこの音楽祭は、その後、翌20年は姫路で、翌々21年は赤穂で、と両市で交互に開催されることになる。姫路市も、樫本さんにとっては思い出深いまち。樫本さんは8歳の頃、モーツァルトの協奏曲で初めてオーケストラデビューを果たした。その時の舞台が姫路市だったのだ(共演は姫路交響楽団)。

「ル・ポン2013」赤穂市文化会館

「ル・ポン2013」赤穂市文化会館

1 2 3 4 5 6