すごいすと取材記

NPO法人ソーシャルデザインセンター淡路 理事長木田薫 さん(51) 兵庫県

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誰もが役割を持てる社会

SODAでは設立直後から2つの取り組みを中心にすすめてきた。「これからの島のくらしをつくる学校(通称:島の学校)」と、「淡路ソーシャルファーム事業」。

どちらも淡路島に未来の仕事を作っていくことを目指している。

 

島の学校は、淡路島に暮らす若い人が対象。他地域の先駆的な取り組みを学び、地域で横のつながりを持ってほしいと企画された。

ビジョン委員として5年間、島内をヒアリングして回った時、地域のために何かしたいと考え、実際に行動をしている20代30代の若い人にたくさん出会い、彼らを応援したいと思ったと話す。「学校は、その人の持つ能力や可能性を見出し、引き出すところだと思う。ここに集う人たちが、しっかりと自分探しができたり、共感し合える仲間に出会えたり、もうだめだと思っていた自分のことが好きになれたり…。そしてどんな些細なことでもいいから、明日への一歩が踏み出せるような学校にしたい」

 

平成25年度は11月から12月の間に4回、計32時間にわたる対話形式の講座を実施。参加者は30代が中心。UターンやIターンの人も多く、参加者同士が互いに刺激を与える場になっている。講師は食を通じて農村部と都市部を結び地域活性化に取り組むフードデザイナー、被災地で地域資源を活用した仕事づくりを進めるコーディネイターなど。いずれも独自の観点から革新的な取り組みを進める人たち。彼らの手法や理念を学び、自分たちの暮らしや仕事を再考する機会にしてほしいというのが、今年の狙いだ。

 

若い時から「淡路島のお母さん」とあだ名がついていたという木田さん。島の学校を通じて、淡路島の次世代を引っ張っていくような人が出てくれば嬉しいと微笑んだ。

島の学校開校式

これからの島のくらしをつくる学校‐開校式‐

「淡路ソーシャルファーム事業」では、就労が困難な人たちの仕事づくりという課題に取り組む。

育児中の母親や高齢者、障がい者、社会経験の少ない若者などは、働きたいと思っていても、雇い口がない。就労どころか、社会参加自体を諦めているような人もいる。

「例えば軽い障害を持つ場合、作業自体はできても、長い時間は続けられないようなこともある。そんな人はなかなか安定して仕事に就くことができない。彼らは自分が社会の構成員ではないと感じ、苦しみを抱えている。社会復帰をしたい、と真剣な願いを聞く度に、私はこの子たちが悪いのではなく社会の仕組みが間違っているのだと、憤りすら感じる」

 

現在ソーシャルファーム事業としていくつかの実験的な取り組みが進められている。

ひとつは本人が無理のない労働時間などの条件を決め、ジョブパートナーと呼ばれる支援者ともに仕事を行うプロジェクト、実際に数人が清掃作業などの仕事に就いている。

その他、育児中の女性による起業グループもある。まもなく、老人ホームの中でカフェ運営が始まるのだという。

「仕事に合わせた人づくりではなく、人に合わせた仕事づくり」を理念にするこの事業。 小さな規模でも、確かな実践例を作ることにより取り組みを広げていきたいと木田さんは語った。

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