すごいすと取材記

小林林産 代表小林温 さん(62) 兵庫県

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順風から一転、逆風へ

小林さんが仕事を始めた当時、日本の林業では立木をすべて伐採する「皆伐」というスタイルが主流だった。だが植林から次の伐採まで数十年もかかるやり方は、木材価格の低落でコストが見合わなくなるなどデメリットが多い。

そのため、小林さんは先代の皆伐方式から、一部の木を間引く「間伐」に変更した。間伐方式は、継続的に木材を市場に出すことができ、残った木を大きく育てることが可能になるからだ。

また木の搬出も、ワイヤーを使う架線集材という方法から、山の斜面に付けた作業道による方法に切り替えた。これによって搬出作業の効率が格段に上がり、30歳からという決して早くはないスタートだったが、仕事は軌道に乗っていった。

 

ところが順風満帆のように思えた矢先、相次いでトラブルに見舞われる。

まず平成16年5月、地域を襲った集中豪雨によって所有する山林が被害を受けた。小林さんの住む生栖(いぎす)地区では人的被害は免れたものの、自分が付けた道が2ヶ所、土砂崩れを起こしていた。

「現場を見た人から『これは天災ではなく人災だ』と言われたのはショックでした。幸い、道の下にあった民家まで土砂は流れませんでしたが、一歩間違えれば自分のせいで二次災害を引き起こしていたかもしれません」

さらに同じ年の10月、今度は台風23号による強風で、110haある所有山林のうち10haもの立木が倒れ大損害を受けた。数年にわたる時間をかけて間伐をしてきた山だっただけに、経済的な損失も大きかった。

手塩にかけて育ててきた山を立て続けに襲った災害に、すっかり意気消沈してしまったと小林さんは語る。

写真:山の遠景。がけ崩れの後が残っている。

大雨による作業道崩落跡。今も爪跡が残る現場を見ることが戒めになると小林さん

写真:高く育った木が一面に倒れている。

平成16年の台風26号による倒木被害直後の様子

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