すごいすと取材記

合同会社シーラカンス食堂 代表小林新也 さん(27) 兵庫県

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伝統の技で地域を元気にする

小林さんは、地域を元気にする活動にも取り組んでいる。

これまでデザイナーとしてさまざまな場所を訪れてきた小林さん。かなり過疎化の進んだ地域も目にしてきたが、そのたびに将来の小野を見ているような気持ちになった。

「このまま何もしないでいると、10年もしないうちに小野も空き家だらけのまちになってしまう。しかし、伝統産業が踏ん張っている今ならまだ間に合うはずだ」

小林さんは「観光資源としての地場産業」という視点から、そろばんや播州刃物の製造過程を見学し、製作を体験できるプランを旅行会社に提案した。有馬温泉を訪れた観光客を呼び込んで、子どもや孫のためにオリジナルのそろばんを作ってもらう。観るだけの旅行ではなく、ものづくりの楽しさと手作りの記念品が残る企画が好評を博している。

これまで続けてきたものづくりで観光客を呼び込めるという今まで考えもつかなかった発想を受けて、地場の担い手たちの間では、ものづくりの魅力を積極的に発信しようとするなど、その意識が変わりつつある。

写真:そろばんを組み立てる子ども

世界でひとつだけのそろばんを作る子どもたち(そろばんビレッジ)

また、学生時代、先輩デザイナーと一緒に、彼の出身地である島根県の古民家に手を加えて年間1万人以上の若者が訪れるカフェをデザインし、作り上げた経験を持つ小林さん。このノウハウを生まれ育った小野でも活かせるのではないかと考えた。

人々が交流できる場の少ない小野に、新しいコミュニティを築くための場を作りたいと、商店街にある複合施設「おの夢館」を、大学の後輩たちに手伝ってもらって改修し、生まれ変わらせたのが「播州カフェ」だ。幅広い世代が集い、カフェとしてだけではなく、そろばん作りのワークショップなどのイベントや交流会の場として、さまざまな人が繋がるきっかけの場になっている。

写真:改修作業の風景

大学の後輩たちに手伝ってもらって作った播州カフェ
小野中学校の旧校舎の机を譲り受け、天板を床材にした。

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