すごいすと取材記

NPO法人はりま里山研究所熊谷哲 さん(65) 兵庫県

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遊びの中で学びに出会う場所、里山

「定年退職の時に、プロジェクトの完成形をつくりたかったんです」
 平成28年3月、兵庫県立大学・環境人間学部教授を定年退職。現在は同大学名誉教授として学生たちの教育・指導に携わる熊谷さん。ちょうど今から10年前、大学で定年退職までの「10年プロジェクト」を企画立案する機会があった。そこで選んだテーマが里山保全活動だった。
 「里山は、日本の文化として守るべきだという考えもあります。しかし私は、教育のひとつの形として里山を守り残したい。自然科学に興味関心を持つ子どもを増やしたいんです」
 そんな想いの背景には、少年時代の鮮烈な体験があった。

神戸市出身の熊谷さん。里山に暮らした経験はなかったが、2年間だけ山の中の宿舎で生活をしたことがあった。小学3年生の夏休みのことだった。
「当時の私にとってクワガタやカブトムシは、デパートで買う貴重なもの。それが自宅の窓ガラスに向かって、大きなカブトムシが何匹もぶつかって来るんですよ! 衝撃でした」
 毎日のように友だちが、昆虫採集に連れて行ってくれた夏休み。楽しいだけではなく、自然の中ならではの、ちょっと怖い経験もした。
 「自然の中で遊ぶことに、学びがある」 
 そんな熊谷さんの信念は、この2年間の自然体験から生まれたのだ。

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