すごいすと取材記

阪神高齢者・障害者支援ネットワーク理事長黒田裕子 さん() 兵庫県

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いのちを救う理念と責任

市民社会の確立をめざして数々の取り組みを進めながら、災害現場でのボランティア活動をあの日から19年間休むことなく続けてきた黒田さん。

どんな時でもひとつのいのちへ寄り添うことを、忘れることはなかったという。

神戸の仮設住宅で、酩酊状態の人に包丁を突きつけられ、恫喝されたこともある。

「怖くなかったといえば嘘になる。でも、その人がなぜそうした精神状態に置かれているかを考えれば、寄り添いたいという思いが揺らぐことはなかった」

 

「何よりもボランティアは押し付けの支援を行ってはならない。」黒田さんはそう繰り返す。人が本当に必要としていることは、本人の中にしかない。どんな精神状態なのか、何を求めているのか。その人が発している言葉や行動から、今の時点の必要に目を向けることを考える。

「話をしながら机の上に置いた手が開いていくのか、固く握りしめるのか。そんなことからもその人が今何を伝えているのかを考えることができる」

相手の息遣いや目の動き、全身が伝えてくるメッセージを読み取りながら、一人ひとりの今と黒田さんは向き合ってきた。

 

「あの日、もし起きる時間が違っていたら、私もここにはいなかったかもしれない。一度失ったと思えば、惜しくない。私のいのちをかけて、一つのいのちが生ききれるように寄り添い続けたい」

 

黒田さんが大切にしていることは「理念と責任」。

ひとつの命に寄り添う。その責任の重さもボランティアは感じなければならないと黒田さんは言う。

ゆらぐことのない確かな理念で、一人ひとりに寄り添い最後の一人までも見捨てない活動を続ける。

理念と責任

(公開日:H26.1.25)

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