すごいすと取材記

福良漁業協同組合 組合長前田若男 さん(44) 兵庫県

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「3年とらふぐ」養殖への道

平成10年頃、それまで高値で取引が行われていた養殖ふぐ市場に、生産過剰や外国産の参入などが原因で価格暴落が起こる。福良の漁業者がこれまで2年で出荷していたものを、魚体が大きくなってさらに高値がつく3年ものに切り替えようと考えたのはそんな時だった。

淡路島はふぐの大消費地である京阪神に近い。また、速い潮流と低い水温のおかげで、天然ものに劣らない身の引き締まったとらふぐを稚魚から育てられるという自然条件も、この挑戦を後押しした。

しかし、養殖の期間を1年延ばすということには、それだけのリスクも伴う。

「3年目に半分が死んでしまった年もあります。あっという間に採算割れです」

ふぐはその一見ユーモラスな風貌とは裏腹に、たいへん神経質な魚だ。激しく変化する速い潮流や水温、また与える餌の量による体調の変化などを細かく観察しながら、過保護なくらいの育て方をする必要があるという。口腐り病などの伝染病、生簀のネットによる尻尾やひれの傷みにも常に気を配らなければならない。

そのため、前田さんら福良のふぐ養殖業者は、わが子を育てるように、毎日きめ細かい観察と厳しい健康管理を行い、3年を迎えずに死んでしまう個体の数を減らす努力を重ねた。あわせて、与える餌の種類を工夫することで、天然ものに勝るとも劣らないレベルまで食味を向上させ、商品価値を一層高めることに成功した。

こうして誕生した3年ものの養殖ふぐは、平成16年から「淡路島3年とらふぐ」という名で出荷され、その品質の良さから、高い評価を得ている。

リスクの大きな最後の1年を乗り越えたとらふぐだけにつけられるこのブランド名は、名付け親である前田さんの自信と意気込みがこめられている。

大鳴門橋

日本でもっとも速い鳴門海峡の潮流

淡路島3年とらふぐ

生簀で養殖中のとらふぐ。これはまだ2年もので、さらに大きく育てる。

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