すごいすと取材記

宇仁郷まちづくり協議会会長丸岡肇 さん(73) 兵庫県

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新しい住民を呼び込む地域へ

協議会設立後は小学校を存続させるためにふさわしい、子どもを安心して産み育てられる地域にすべく活動が進められてきた。

下校風景

宇仁小学校の下校風景。このまま学童保育へ向かう子どもも多い

宇仁で育った丸岡さんは両親や近所の人に育てられた宇仁での思い出や、自分はひとりで大きくなったのではないという思いが、何よりも人生で苦しい時の支えになったのだと語る。そうした思いもあり、現在の宇仁においても地域で子どもを見守り育てるよう、子どもたちの祖父母世代にあたる人たちが、子どもとその親をサポートする仕掛けがうまれた。

例えば共働き世帯のために行われている小学校下校後の学童保育。保育園児や幼稚園児の預かり保育から始まったこの活動は、地域の中高年層が中心となってボランティアで運営されている。

学童保育

また子育て中の母親がひとりで不安を抱えることなく、気軽に相談しあえる場を、と設けられた「宇仁子育てほっとトーク」。母親同士の交流スペースとして、地区のふれあい交流館で月1度2時間のペースで開催されている。託児や会場設営など、ここでも祖父母世代が積極的なサポーターとして活躍する。この事業を運営する繁田由美子さんは子育て中の世代。「子どもを見るお手伝いをしてくださったり、使わないおもちゃを集めたり、運営するための助成金集めまでどんなことでも協力してくださる心強いみなさんがいます」と話す。

また協議会ではそうした動きと並行し、実質的に児童数を増やすための取組みも進められた。

ひとつはUターンの斡旋。隣接する市に住む宇仁出身者20世帯を協議会関係者らが訪問。宇仁へのUターンを直接提案し、実際に8世帯が戻ってきたという。

また宇仁地区が市街化調整区域であることから、新規住民が住宅を建てられず、このままではIターンの妨げとなると考えた丸岡さん。県の特別指定区域制度を活用し、地区内一部のエリアを申請。平成23年「新規居住者の住宅区域」として、約40戸分の宅地が新規住民に開かれることになった。

宇仁地区新規居住者住宅区域の地図

もちろん新規住民や子育て世代だけを見据えた活動ではなく、宇仁産野菜の地産地消と中高年の生きがいふれあいを目指す「宇仁の朝市」や、季節の花でまち並みを彩る「宇仁の里花畑街道」など宇仁全体が元気になれる活動も進めてきた。

宇仁の朝市

それまでは行政に対しての「訴えかけ」にとどまっていたところに、協議会のこのような戦略的な動きが加わることで、小学校統廃合のそもそもの原因である「児童数の減少」が地域で取り組むべき課題であると共有されるようになった。それにつれ住民自身の手で地域の価値を高める、様々な角度からの対策が形になっていった。そうして平成23年度には人口約1,800人の地区において、延べ約3,200人が運営に携わるほどの大きな活動となり、地区内外でその動きが見えるほどの厚みのあるものとなっていった。

その結果、設立から4年後の平成24年に宇仁小学校の存続と、さらには隣接する土地に移動しての新校舎建設が決定、協議会は当初の目的を果たすこととなった。

宇仁小学校新校舎建設風景

宇仁小学校新校舎建設風景

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