すごいすと取材記

大藤山ボランティアグループ会長三村桂 さん(70) 兵庫県

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登山道の整備

見つかった石仏はどうやら1600年代のもの。伝説の火攻めに近い頃の石仏とあって、三村さんはここを地域の名所にしようと心に決める。

よく知った幼なじみでもある長楽寺住職の釋さんとも協力し、グループで登山道づくりに本格的に取り組むことを決めた。

発見された石仏

岩の真ん中に見えるのが、発見された石仏。

まず三村さんは山を管理する森林管理署に出向き登山道づくりの許可を得た。そして費用を捻出するため、加古川市の地域まちづくり補助事業に応募する。

そうしてメンバーとともに石仏のある頂上付近まで登るルートを決め、2年をかけて2本の道を整備した。

「初めはまるでジャングルでした」当時を振り返って三村さんは笑う。

気軽に山に登ってもらえるような道にしたいと、できるかぎり歩きやすい道順を考え、道を塞いでいる木を切り出し、急な上り道には杭を打って階段をつけた。

 

苦労して完成した2本のルート。ふもとの長楽寺から約40分をかけて頂上まで登ることができる。

 

登山道はつくれば終わりではない。訪れる人がいつも歩きやすい道であるためには、登山道の保守整備が必要。こうして保守作業もグループの定期的な活動の一つにした。

階段に使用していた木の杭が腐敗してくると、プラスチック製の杭に取り換え、一段一段を作りなおした。

道筋に沿って張ったロープが古くなってくると、新しいものに取り換えた。ロープは一巻き約4キロの重さがある。男性も女性もそれぞれに重いロープを担いで、山を登る。

保守作業の時は、登山者が足を滑らせて怪我をしないよう落ち葉かきも行う。

道がわかりやすいようにと看板が設置され、グループの女性たちのアイデアで新しく竹製の手すりもつけた。

 

三村さんはこうした保守整備作業にかかる費用が、グループの持ち出しにならないように毎年頭をひねっている。例えば休耕田で作った野菜の販売や、地域の野球グラウンド整備の仕事を引き受けて得た収入などをこうした活動費に充てている。また、平成20年からは毎年、東播磨県民局の「東播磨地域づくり活動応援事業」にも応募、助成を獲得している。

 

「整備に必要な物品を購入するだけでも毎年費用が必要になる。活動を続けていくために資金繰りには気を配ってきました」

登山道の整備をはじめ、保守を続けるのは、いずれもメンバーの協力があってできる活動だ。できるだけメンバーに負担がかからないようにと、申請や報告などの事務は三村さんが引き受けてきた。

看板設置

看板設置の一幕。整備に必要な工具も全て担いで山を上がる。

こうして、木々が鬱蒼と生え、人が足を踏み入れることもなくなっていた大藤山は、やがて登山者が訪れる地域の名所へと姿を変えていった。

 

最近ではついに、旧長楽寺跡と思われる場所も見つかった。現長楽寺から100mほど登った場所に仏像が納められていたと考えられる遺構が発見されたのだ。

「川がすぐそばにある場所なので、ここに寺があったとすれば生活もできる。またここから頂上の石仏の辺りまで、修行僧が修行に上がっていたのではないかと思います」

わが村には、かつてどのような人たちが暮らしていたのか、旧長楽寺とされるその場所に立ち、三村さんは思いを馳せる。

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