すごいすと取材記

大藤山ボランティアグループ会長三村桂 さん(70) 兵庫県

ギャラリーを見る

わが村の歴史を思う

地域の歴史を発掘するこの活動をめぐっては、同じ時代を知る仲間たちとの思い出話に花が咲く。

例えば、長楽寺で夜を徹して行われていたにぎやかなお祭りの記憶。大人たちが教えてくれた蛇ヶ池の鐘の伝説に、想像を膨らませながら山を見上げた思い出。

「近所のお姉さんが蛇ヶ池で狐に化かされて行方不明になった、なんて噂も普通に流れてたね」

グループ最高齢の長谷川さんの話に、みんな笑ってうなずく。

4人の幼なじみ

長楽寺住職の釋さんと、三村会長、三村さん、長谷川さん。昔話に笑みがこぼれる。

三村さんも子どもの頃を振り返る。

「お風呂に入る時は自分たちで井戸からつるべで水を汲んで、薪を燃やして沸かした。電燈は各家に一つだけだったから、行灯を使った。そんな生活は、もう僕らの世代ぐらいまでかなぁ」

山中にあった旧長楽寺。僧侶たちも幼いころの自分たちと同じように川まで水を汲みにいっていたのだろう。山寺の生活に思いを馳せると、自分の幼年期と重なり、昔の僧侶たちの様子がありありと思い浮かぶ。

 

高度成長期を経て、永室ではずいぶんと多くのことが変わった。もう子どもたちが井戸から水を汲む風景はない。蛇ヶ池の伝説が親から子に語られることもない。このままだと、伝説も村の歴史も消えていくだけかもしれない。

三村さんが地域活動を学ぶために入学した高齢者大学“いなみ野学園”。地域活動指導者養成講座への参加から始まって、大学院に至るまで8年間を過ごした。

集大成となる卒業研究に選んだのは永室地域の歴史だった。

「この地に生まれて育ってきたから、ここに至るまでの歴史を知りたいんです」

そんな思いが三村さんの原動力となっている。

三村さん

1 2 3 4 5 6