すごいすと取材記

山口町自治会連合会顧問三谷弘志 さん(67) 兵庫県

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今こそふるさとに活力を

そして、平成23年、三谷さんは山口町自治会連合会会長に就任する。さくらやまなみバスは当初の見込み通り通学の利用者は多いものの、赤字運行が続いていた。山口地域にとっては市中心部につながる命綱ともいえるこの路線を守り続けるためには、利用客を増やす必要がある。市南部の市街地との行き来を促すような取り組みが急務だった。

「長年の活動で路線開通を勝ち取った方たちの産みの苦しみは大きいものだったと思うが、会長になって今度は育ての苦しみを引き受けていくことになった。できることからなんとかしたいと、心から思った」

ただ、長年地域活動に取り組んできた三谷さんの見つめる先は、単に「バスの増客」にとどまらなかった。

手元のデータから予測されたのは、山口地域の急激な高齢化。新興住宅地の第一期分譲から30年近くが立つこと、また就職などで他地域に出た子ども世代のUターンがあまり見られないことなど、少子高齢化の問題が目の前に迫っていることがはっきり していた。

地域の活力を高め、人口の流出に歯止めをかけることなしに、ふるさと山口の明るい未来は見いだせない。活性化にまず必要なのは、すべての住民に等しく問題意識を持ってもらうこと、そして地域に愛着と誇りを持ってもらうことだと三谷さんは考えた。

 

まずは土台作りとして、それまで個別に 活動していた地域団体 へ目を向ける。旧村地区の自治会、新興住宅地の自治会、婦人会、老人クラブ、PTAなど、各々活発に活動しているものの、協働の輪が広がることはなかった。

「それぞれに思いが強くて実績 のある集まり。それらがひとまとまりになり、ひとつの『山口の地域コミュニティ』となれるつながりを作りたかった」

 

そんな思いのもと、平成24年、新たに「山口地域活性化課題懇談会」が設置された。懇談会では旧村地区の財産区である山口町徳風会、自治会、市の 3者が中心になり、山口地域の活性化施策について 知恵を 出しあった。

山口地域活性化課題懇談会

山口地域活性化課題懇談会

検討の俎上にあがる様々な施策。その中の目玉のひとつとして三谷さんは山口地域の見どころを巡るハイキングコースの 整備とハイキングイベントの実施を提案する。コースづくりを通じて、住民の手で地域の優れた資源を地域の見どころとして掘り起こし、それを他地域の人たちに向けて発信すること、そしてイベントを通じ、山口地域の様々な団体・グループが協働する形を作ることが、三谷さんの狙いだった。

 

全ての自治会、地域団体が一つの行事に取り組むのは初めてのこと。さらに地域外の人の参加も促そうというのだから、二の足を踏む人もあった。そんな中、三谷さんはとりあえずやってみようとみんなの背中を押す。

懇談会メンバーの西宮市職員の坂上さんは、当時のことをこう振り返る。

「三谷さん が何事も決して言いっぱなしにはせず、自ら誰よりも汗をかいて取り組む人だということを、日頃の活動を通じて誰もが知っていたんです」

そんな三谷さんの人柄があったからこそ、懇談会はハイキングイベント開催へと歩を進めることになる。

三谷さんと現会長の畑さん

三谷さんと現会長の畑さん。お互いにないものを補いながら地域づくりに尽力する日々だと話す。

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