すごいすと取材記

コミュニティキッチン結良里森本淑子 さん(77) 兵庫県

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シンプルで奥深い伝統の味

広く、明るい厨房。大きな冷蔵庫や調理台などが並ぶ中、「とふめし」づくりが始まる。仲間がそれぞれの持ち場で忙しく働く空間に、てきぱきと調理の指示を出す森本さんの声が響く。

ごぼう、人参、油揚げを細かく刻んで油で炒める。そこにサバの水煮を加え、最後に茹でた木綿豆腐を入れて醤油を差しながら豆腐をつぶしていく。そうしてでき上がった具を、炊き上がったごはんの上に直接乗せ、あとは一気に混ぜ合わせる。炊き込みご飯とは違って、「とふめし」は混ぜご飯なのだ。

調理開始から1時間20分、森本さんが「地域の宝物」と語る「とふめし」が出来上がった。

「素朴な田舎料理だけれど、案外手間がかかるでしょ。それだけに奥深い料理なのよ」

「とふめし」の味の決め手となる地元の木綿豆腐を40分茹でる。

炊き上がった2升のご飯と別に調理しておいた具を手早く混ぜ合わせる。

120年のあいだ、地域の人々が営々として作り続け、食べ続けてきた「とふめし」。地域の誇るこの伝統料理の誕生には、歴史ある古い地域ならではの起源がある。

昔、この地域では、講の集まりや祭礼、冠婚葬祭のたびに、様々なご馳走をたくさんの小皿に分けてお膳を組むという手の込んだ食事を出していた。1村30戸ぐらいが集まるたびに、若いお嫁さんたちは日常の農作業や子育て、炊事、洗濯、掃除にプラスして、大量の料理を作らなければならず、これは大変な重労働となる。

ある時、村の長老が「こんなことではそのうち嫁のきてがなくなるぞ。お膳の上のご馳走を、みな一緒に混ぜてしまえ」と号令をかけたとか。結果としてはこれが正解で、長老の号令から出た苦肉の策が、長い年月を経て「人の集まるところに『とふめし』あり」とまでいわれ言われる大山の名物料理になった。

ゆらり定食

日替わりのおかずが付くゆらり定食

スタッフの調理風景

注文に応じて「とふめし弁当」もつくり地域に配達する。この日は50食の弁当をつくるスタッフ。

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