すごいすと取材記

近畿タクシー(株)森﨑清登 さん(64) 兵庫県

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まちづくりとは、人との関係づくり

森崎さんには、忘れられないシーンがある。それは、受け入れを始めて間もない頃、修学旅行でやって来た中学生が質問した時のことだった。
「お客さんが来ないのに、どうして店を開いてるんですか?」
質問を受けた店主は一瞬答に詰まったが、次の瞬間こう語り始めた。
「人間、金もうけだけで生きてないねん。あの時からこの町は、みんなで手を携えてつながってる。その実感が、おっちゃんを生かしてくれてるんや。みんなで手をつなぐことが大切やった。それで生き残って来た。みんなが商売してるのに、自分だけ店を閉められへん。
君らもみんなで相談しいや。声を掛け合いや。今日は、手を握り合うってことを覚えて帰ってな。結婚して子供ができたら、ここに戻って来て。おっちゃん、それまで頑張るから。それまで店をやり続けるで!」
「『お客も来うへんし、イベントしても身内ばっかりや。そろそろ閉め頃かなあ。疲れたなあ』って、前日こぼしてた人々が、翌日には商売を続けるって宣言したんです。実は、提供する側のモチベーションを上げていたんです。人との関係づくりが、まちづくりなんですよ。」

受験生を安全に試験会場まで送り届ける「桜咲くタクシー」は、長田神社前商店街の「おかずふぁくとりー」とのコラボ弁当も提供。

震災の町から観光の町へ、さらに「ぼっかけカレー」の商品開発で食の町へ。長田は震災の町を卒業した。人の手間も、費用もかけない。手を伸ばせばそこにあるものばかりを使うことを提案する。
「自分には何もないというのは思いこみです。思いを探ればすごくいいものが見えてくるのに、みんな気が付いていないんです。私はアイデアマンやと言われますが、アイデアはその人自身の中にあるんです。資源は自分の周囲50センチにあるんですよ。」
そしてもう一つ、大切なこと。それは「『できる!』と言い続けることです。」

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