すごいすと取材記

アトリエ太陽の子中嶋洋子 さん(64) 兵庫県

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防災ポスター作成は、ぼくたちの使命!「震災・命の授業」

「今ある命が当たり前、快適な生活が当たり前だと思っていない?それは違うのよ。」
年に一度、中嶋さんは子どもたちに阪神・淡路大震災を伝える「震災・命の授業」を開く。新聞記事で壁一面が埋めつくされた教室で、当時の映像を流し、あの日亡くなったアトリエの生徒とその家族の話を伝える。あの日、あの場所に、もしも僕が、私がいたならば……。子どもたちは、一生懸命に想像をめぐらせながら絵を描いてゆく。

子ども達が真剣に見つめる中、震災当時を語っていく

震災を知らない子どもたちに震災を伝えるのは、神戸に生きる大人の使命だという中嶋さん。きっかけは、震災から10年目に内閣府の防災ポスターを目にしたことだった。案内の表紙が地震の絵だったのだ。
「私たちにはこれがある!」
絵を描くことで、震災を伝えられると気づいたのだ。そこから中嶋さんの、絵を使った防災活動が始まった。
ポスター一枚を仕上げるのに、太陽の子では2ヶ月を費やす。中にはポスターを描くために、防災袋の中身を全部黒板に描く子も。子どもたちはまず、防災についての勉強をしてから絵に取組むため、ポスターを描くことそのものが防災教育になるのだ。

震災から15年目。憧れの兵庫県立美術館にてアトリエ太陽の子防災展を開催。臼井真先生の指揮で会場にてアトリエの子ども達による大合唱「しあわせ運べるように」

さらに「震災・命の授業」には、もう一つの役割があった。
「パパとママは、震災の救助現場で出会って結婚したの。」「結婚式の翌日が震災で、お母さんはハイヒールで逃げたって。」
震災で辛い想いをしたお父さんやお母さん。子どもたちに伝えたい、でもいつ、どう伝えていいのかわからない。そんな家庭に「震災・いのちの授業」は、親子で話し合うきっかけを与える。
揺れた瞬間、一番に自分のもとへ駆け付けた父の話を聞き、父の愛を再認識できた高校生の男の子。
仕事一途の母に、自分は愛されていないと思いこんでいた小学生の女の子は「バカねって言われた。もし地震が来たら一番にあなたを連れて逃げるに決まってるでしょ。って言われたよ。私、お母さんに愛されてた。」と中嶋さんに報告して来た。中嶋さんは「震災・命の授業」は、親子の愛をも再確認できるんだと実感を深めたという。
さらに東北で、熊本で、絵の力の大きさを改めて目の当たりにすることになる。

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