すごいすと取材記

アトリエ太陽の子中嶋洋子 さん(64) 兵庫県

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人間の底力を描き出す「命の一本桜プロジェクト」

東日本大震災以降5年間で、東北被災地のべ60校・約4000人以上の子ども達の心のケアの為の絵画ワークショップを続けている(写真:平成24年10月18日気仙沼市立階上小学校)

平成23年3月11日、東日本大震災が発生。いても立ってもいられなかった中嶋さんは、1ヶ月後、兵庫の子どもたちが描いた桜の絵を携え被災地へ出向いた。心のケアのため、東北の子どもたちにも絵を描かせてあげたかったのだ。
言葉に言霊(ことだま)があるように、絵には絵霊(えだま)があるという。横8メートル、縦3.2メートルの大きな模造紙を前に、子どもたちは中嶋さんの声に合わせ、自分の胸に手を当てる。聞こえてくる心臓の音は、世界にひとつ。
「世界にたったひとつの命!こぼさないように、白い紙に押し込むよ!」
「みんな、心をひとつに!」
中嶋さんの大きなかけ声に、子どもたちは模造紙に向かって走り込む。
「津波に負けるもんか!」「僕たちが、この街を復興させるぞ!」
ピンクの絵の具で手の平を染めた子どもたちが、悔しさ悲しさを声に出しながら、小さな手を紙に当て想いを押し込んでゆく。
「子ども達は津波に抗えない悔しさ、原発に対しての悔しさを朗々と語る事が出来ません。だからこそ吐き出す為にも語らなければなりません。絵を描くという事は、子ども達が全身を使って『語る』という事です。」

熊本県の御船中学校・滝尾小学校の生徒たちが描いた命の一本桜(平成28年6月22日)

でも本当にすごいのは、人。人間力を子どもたちに伝えたいと話す中嶋さん。
熊本では470人もの児童・生徒たちが体育館に集まり、白い模造紙に満開の桜を咲かせた。
「みんなが心を合わせて初めてできあがるんです。一本の桜の木を描きながら、みんながどんどんひとつになってゆく、その瞬間が素晴らしい!」
5年以上経った今でも東北被災地の校長先生方、避難所でお会いした方々や子ども達と繋がっており、温かい人と人との繋がりが、どんどん増えているそうだ。

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