すごいすと取材記

北須磨団地自治会会長西内勝太郎 さん(72) 兵庫県

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自分たちのまちは自分たちで守る

こうした熱心な取組みが見られる住民自治のまち、北須磨団地。まち開きは、今から46年前の昭和42年。兵庫労働金庫と兵庫県労働者住宅生活協同組合が連携して建設された。自治会が結成されたのは翌年の昭和43年。かつてを振り返って西内さんは語る。「当時は何もなかった。バス停はない、学校もない、食堂もスーパーマーケットもなかった」。暮らしに必要なものは行政と交渉して誘致し、それでも足りないものは自治会で作ってきたのだと話す。例えば保育所や幼稚園。増加する子どもの保育施設が必要と考え、自治会と地域住民によって、全国で初めて生活協同組合立の北須磨保育センターが昭和44年に設立された。現在でいう幼保一元構想が盛り込まれた施設としてスタートしたという。

 

その北須磨団地で、平成9年に起きた児童殺傷事件が地域に大きな衝撃を与えた。この事件をきっかけとして、翌年の平成10年に民間の交番とも言える「友が丘防災防犯センター」が自治会によって設立された。当時、団地内には交番がなかった。そこで各地域団体から資金を集め、住民の手でセンターの設立にこぎつけた。「安全安心コミュニティ宣言のまち」を掲げるこのセンターは、自治会役員がボランティアで運営している。現在月曜日から土曜日まで4つのグループが交代で常駐し、見守りやパトロール活動を行っている。交番ではないものの、警察官の立ち寄り所ともなっているという。小学校の下校時には何組もの子どもたちがセンターに立ち寄り、中にいるボランティアと談笑していく姿があった。

友が丘防災防犯センター

「防犯のまちづくりは“あいさつ”から」との考えから取り組まれているのは、北須磨団地を全国的に有名にした「あいさつ運動」だ。向こう三軒両隣のみならず、出会う人みんなとあいさつをする。こうして気軽に声を掛け合うことから、顔の見える関係が作られ、安心して暮らせる基盤になる、という仕組みだ。「『あ』…明るく元気に、『い』…いつでも、『さ』…先に、『つ』…続ける、簡単なことでしょ?」と、西内さんは笑う。

あいさつ運動は地域の子どもたちの見守りにも活かされている。毎日小学校の登校時間には、地域住民と校長が揃って校門の前に立ち、子どもたちとあいさつを交わす。「校門の前に立っている地域の人は、10年間自主的にやっている。この前高校生から彼らに『毎日ありがとう。おかげで卒業できました』というお礼状が届いた。そんなこと言われたらなかなかやめられないな」と西内さんは楽しげに話す。

登校時のあいさつ運動の様子

「この団地には自分の家が欲しいと考えて、それを手に入れた人たちが集まっている。ここが自分の終の棲家やと思ってみんな住んでる。だから自分たちで何とかしようと考える」。そう西内さんは語る。

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