すごいすと取材記

城下町洲本再生委員会会長野口純子 さん(71) 兵庫県

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「まち歩き」から「まちづくり」を

「自分たちの住むまちを何とかしたい」という思いを持っていたのは野口さんだけではなかった。2年前、志を同じくするメンバー約20名が、県民局職員の呼びかけをきっかけに集まった。その中には、大学卒業後に島へUターンしてきた若者も含まれていた。

その集まりでまちの活性化についてさまざまな意見が出された結果、「市街地のレトロな雰囲気を生かして地域おこしができるのではないか」という着想が生まれた。翌月、早速「城下町洲本再生委員会」が結成され、野口さんは会長に就任。若者がまちなかで過ごせる場所と仕事をつくり、まちに居住者を呼び戻すことを目標にした活動が動き始めた。

そうして最初の会議から4ヵ月というスピードで開催にこぎつけた「城下町洲本 レトロなまち歩き」。多くの人にまち歩きを楽しんでもらい、洲本の魅力に触れてもらうと同時に、現在空き家となっているところにアトリエショップやカフェなど魅力的な店舗を誘致することで、地域力を底上げすることも狙ったイベントになった。

平成24年4月、開催日の2日間限定で出店者を募ってスタートした第1回には、地域住民をはじめ県内外から70軒を超える出店者が集まる盛況ぶり。8,000人もの参加者でにぎわった。

イベントで賑わうオリオン前

イベント当日。洲本オリオンの前の賑わい

踊る高校生たち

県立洲本高等学校ミュージックダンス部のパフォーマンス

第2回を終えた後の平成24年12月には、野口さん自身も築140年の建物を買い取り、「こみち食堂」を開店した。提供するのは地元の食材をふんだんに使った手づくり料理だ。栄養バランスを考えた健康メニューで、常連客も多い。食事のためだけに暖簾をくぐるのではなく、コミュニケーションを求めてやってくる人も少なくない。妻に先立たれた男性で、「ご飯は炊けるので、おかずだけほしい」と来店する人もいる。

こみち食堂で働く野口さん

こみち食堂の店内

食堂に来られない独居者には弁当の配達もしている。最初は受け取りにも出てきてくれなかった人が、次第に玄関口まで顔を出し、笑顔を見せてくれるようになった。愛育班の活動を通じて目指してきた、住む人の顔が見える昔ながらの地域が洲本に戻りつつある。

「城下町洲本 レトロなまち歩き」は回を重ねるごとに参加者が増え、第5回を迎えた今年も1万人を超える人が訪れた。こみち食堂の近所には、イベントでの出店をきっかけに常設店5店も新たにオープン。週末を中心に営業を行っている。

休日ともなると、ガイドブック片手に“レトロなまちなみ”を散策する観光客の姿が見られるようになった洲本のまち。現在進行中の計画は、週ごとにシェフの替わるレストランのオープンだ。城下町を歩く楽しみが、またひとつ増える。

常設店には若いオーナーも

常設店のチョコレートショップオーナー 雨堤麻美さん

イベント中の野口さん

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