すごいすと取材記

稲小地区社会福祉協議会顧問岡本忠治 さん(78) 兵庫県

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体を動かし、地域で活動する

新温泉町から就職のため伊丹に出てきた岡本さん。住友電工伊丹製作所で工場主任として働く一方で、地域住民として地域の日常的な問題に関わり続けた。30代の若さで自治会長の職にも就き、民生委員や協議会の福祉部長としても、家族介護を行う家庭や障がい者、高齢世帯の問題に携わる。地域の施設で、車椅子を利用している人が登山に行くと聞けば、ボランティアとして参加。車椅子を大人6人で押して山を登った。視覚障がい者の人の日帰りの観光旅行に付き添ったこともあった。

そんな岡本さんの人生において、地域での活動の割合をさらに増やす転機となったのが、60歳まで勤め上げた会社の退職日に起こった、阪神・淡路大震災だった。退社翌日から地域で復旧活動に携わった岡本さん。「10リットルのタンクを抱えて、水を配って回って、仕事とは違うことで体を動かせるなあと実感した。自分も死ぬような思いをして、いつどうなるかわからないなら、自分の仕事より地域のことをしたいと心底思った。」会社から再就職の勧めがあったにも関わらず、そのままボランティア活動を続けた。

岡本忠治さんの横顔

地域、職場、どちらの中にあっても、多様な視点に立つことが大切であると学んだという岡本さん。

「いろんな人がいて、ひとつの地域が形作られる。それぞれ状況も考え方もできることも違う。地域では、弱い立場のひとたちの声に教えられ、職場では優秀でもそうでなくても、切り捨てず一緒にやっていくことを大切にした。それらの経験が今の考え方を支えている。そしてその中の誰かが困っているなら自分のできることで助けたい」と語る。

岡本さんが大切にしている言葉は「音・面・道(おと・づら・みち)」。

30代の時、ある人が使ったこの言葉に感銘を受けて以来、その言葉と自分や地域の活動とを照らし合わせ、いつも心にとどめているという。

音は「聞こえない声を聞くこと」、面は「自分と人が接している面は正直であるか。地域という面はいまどうあるべきか」、道は「歩んできた道と歩むべき道はなにか」

見守りをしているのではなく、子どもに見守られているのだと笑う岡本さん。

確固たる信念を心に持ちながらも、何よりみんなで楽しめることを一番に、助けあいの先頭を進んでゆく。

おと・づら・みち

 

(公開日:H25.9.25)

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