すごいすと取材記

テキスタイルデザイナー小野圭耶 さん(35) 兵庫県西脇市

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生地づくりは、チームづくり

 

「自分一人では、生地は絶対につくれない。」
先染め織物は、プリントのように色柄を生地の表面に描くものではない。糸の色や太さ、本数を選ぶことから始まり、用途に応じた強度や風合い、肌触り、色柄を表現するための複雑な糸の重なりを緻密に設計するデザイナーと、その設計を再現するための各工程の職人の技術が必要とされる。そのため、生地をつくることは、デザインを通して職人たちとコミュニケーションを図りながら、チームづくりをしていく感覚だと小野さんは言う。

 

「生地づくりは、チームづくり」。小野さんはコミュニケーションを大切にしながら生地づくりを行う。

「生地づくりは、チームづくり」。小野さんはコミュニケーションを大切にしながら生地づくりを行う。

 

「昔、デザインの完成が深夜を過ぎ、その足で機屋(はたや)さんへ生地の設計と糸を持っていったことがありました。冬の寒い真夜中にもかかわらず、職人さんは笑顔で受け取って織り上げてくれたんです。こうした人との関わりを大切にしながら仕事をすることが、この産地で働くということなんです。」
人に興味を持たなければ、いいものづくりはできないと言う小野さん。一緒に仕事をする職人が、どんな技術でどんな仕事をどのようにやってきたのか、教えてもらうことから始めるという。
「職人さんの技術や取り組んできたものづくりの背景と、私が表現したいイメージを組み合わせることが生地づくり。例えば、職人さんたちが思いつきで設計して試作し、放り出したままになっている生地の中に、活かせるアイデアがたくさんあったりします。そんな試作品を編集し直し、職人さんが自分の技術をもって改良してくれることで、一枚の生地ができあがることも多々あります。だから生地が採用されても、私がいいデザインをしたから決まったというわけじゃないんです。」
あなたたちのアイデアから生まれた生地だ――。職人たちにそう伝えることに大切な意味があると、小野さんは言う。
「現場で黙々と取り組む職人さんたちは、自分が織った生地がどんな製品になって誰が着ているのか見たこともないと言います。だからその生地の製品をプレゼントしたり、あなたの技術や歴史があればこそ生まれた生地だと伝えます。そうすることで、次への原動力になると思うんです。」
そう小野さんが感じるのは、それが自分自身の原動力でもあるからだ。
「イタリアの専門学校の視察で知り合った現地の先生が、東日本大震災が起こった時、一度出会っただけの私に『大丈夫?』ってメールをくださいました。テキスタイルや産地に関わっていることで、自分の枠を超えた繋がりが拡がり、誰かが見てくれている、評価してくれていると感じる機会が増えました。自分のやっていることが、世界に対して波紋のように影響を及ぼすことだってできると思えるんです。」
そうしてつながってきた経験が、つなぐ場づくりへ活かされている活動。それが地元でコットンを栽培するプロジェクトだ。

 

満開の真っ白な綿の花が咲いた綿畑。

満開の真っ白な綿の花が咲いた綿畑。

 

畑作業での集合写真、たくさんの人が綿花栽培プロジェクト「365(サブロク)コットン」に参加している。

畑作業での集合写真、たくさんの人が綿花栽培プロジェクト「365(サブロク)コットン」に参加している。

 

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