すごいすと取材記

播但沿線活性化協議会 代表小野康裕 さん(55) 兵庫県

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田舎の誇り

小野さんは、英国王立園芸協会の日本支部の立ち上げにも関わるなど、ヨーロッパへの造詣も深い。実は自身の地元について考えを巡らすようになったのは、ヨーロッパの「田舎観」に新鮮な驚きを感じたからだという。

 

視察でイギリス全土を巡った時のこと。ケルト文化の香りを色濃く残すウェールズ、ガーデニングで名高いコッツウォルズなどを訪れ、小野さんは驚いた。田舎とされるような地方で、自給自足の生活を送る人たち。彼らには、田舎を否定したり、都会と比べて卑下するようなことなどはみじんもなかった。むしろその歴史と文化に誇りを持って語る。そんな姿に感銘を受けたのだという。

それとくらべてみて、自分には語るものがない。

「海外でいろんな人とコミュニケーションを取るときに、自分の国や故郷の知識がなかったり、きちんと語れないと思いは伝わらないんです。さすがに英国人の三島由紀夫おたくから、彼はなぜ自害したんだと思うって訊ねられた時には、閉口しましたけど」

 

その土地に伝承されている文化を意識すること。ただし、そんな「文化」は気に留めなければ、自分たちでは気づかない。「私は野菜を育てる方法も、そこに根付く文化のひとつだと思います。その土地に合った独自の工夫が地域や各家庭に息づいている。家庭菜園の方法が親から子へ受け継がれること。それも文化伝承のひとつだと考えます」

 

いつもは見逃してしまうものや、目に見えない思い入れの部分を、自分たちの文化として認識し、誇りを持たせる。欧米のように自らの文化を他者に語るためには、自分たちの気付きとそれに輪郭を持たせる工夫が必要だ。

ビアガーデンも駅前トークも、そんな気づきをもたらそうとする小野流演出のひとつなのだ。

甘地駅前にて小野さん

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