すごいすと取材記

城崎温泉が教えてくれた、原風景こそ観光地。
チャンスは地方にある!

株式会社たびぞう 大林大悟 さん(41) 兵庫県豊岡市

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電動バイクが生み出した、着地型観光の新たな楽しみ方

 

「城崎ぷちたび」は、城崎温泉街やその周辺地域を電動バイクで巡るツアー。用意された4つのプランの中から旅行者自身が好きな行き先を決め、オリジナルマップを手に散策を楽しむアクティビティです。集合時間や行先までのルートも自由。休憩も寄り道も、記念写真撮影もとことんマイペースに楽しめます。
最大の特徴は、地域案内が不可欠な着地型観光にもかかわらず、ガイドが同行して案内をしないこと。その背景には、長年添乗員として旅行業に携わってきた大林さんの経験と、城崎温泉で提供していた外国人観光客向けのサイクリングツアーで得た気づきがありました。
「ほとんどの観光客は、せっかくのガイドさんの話を聞いていません。観光客がしたいことと地域側が伝えたいことに、ミスマッチが起こっていたんです。観光客が本当に喜んだのは観光名所ではなく、地元の人々の暮らしぶりが垣間見える路地裏の風景や、田畑、川など、それまで私たちが観光資源としてとらえていなかったスポットでした。」
さらに大林さんは、着地型観光にはストーリーが必要だと話します。

「観光客は同じコースを選んでも、カップル、夫婦、家族、友人同士などにより楽しみ方が違います。旅行ってどこに行くかではなく、誰と行くか。自分たちならではの旅のストーリーを求めているんです。」
そこで大林さんは、それぞれの思い出づくりのためのスポットを用意しました。例えば、ぽちょぽちょと音を立てる川に名付けた「ぽちょぽちょポイント」は、観光客が「癒された」と喜んで帰ってくる名物スポットです。両脇に田んぼが広がる下り坂を、両脚を広げて「あーっ!」と叫びながら下れる「あーの坂」では、「青春を取り戻せた」と、観光客が楽しそうに話してくれると言います。また、地元の人との出会いを思い出にしてくれるのは「あいさつルール」。地元の人に道を尋ねたり、挨拶を交わすよう勧めることで交流が生まれ、「畑のおじさんと話し込んでしまった」と、楽しそうに帰ってくる観光客も多いそうです。
「それがかなうのは、電動バイクのおかげです。自転車と変わらないスピードのバイクに、またがっているだけで楽に移動ができますし、どこでも気楽に止まれます。ゆっくり周囲を見渡しながら、普段気付かない音や匂いも感じることができるんです。私が多くのお客様との触れ合いから得たのは『旅の思い出は5秒』という気付きでした。自然の風景に癒された瞬間や、地元の人と交わした一瞬のやり取りを、自分たちだけのストーリーとして旅の思い出にできる。そんな心の豊かさを、電動バイクが呼び起こしてくれると気が付きました。」
こうして、一年間に1,800人もの観光客が利用するヒット商品になった「城崎ぷちたび」。大林さんが改めて感じたことは、「地域資源は、お客様が教えてくれる」ということでした。

 

 

豊かな自然を観光ポイントに

豊かな自然を観光ポイントに

 

 

誰もが童心に帰れる「あーの坂」

誰もが童心に帰れる「あーの坂」

 

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