すごいすと取材記

加古川グリーンシティ防災会大西賞典 さん(57) 兵庫県加古川市

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楽しいことをしていたら、いつの間にか防災に関わっていた

 

「今年の夏祭りもたくさんの人が出てきてくれました。遊びでも買い物でも、参加することやみんなと交流することが、防災活動への協力だと誰もが思っているんです。」
こうした管理組合の理事会が主催する防災会のイベントで欠かせないものが、マンションに常備されたイカ焼き器だ。
「高速炊飯器で500人分のご飯が炊きあがる頃には、2台のイカ焼き器で焼けるイカ焼きを、すでに498人が口にできています。高速炊飯器より効率よく炊き出しが行えるんです。そのうえ、肉でも玉子焼きでもホットケーキでも、何でも焼けますしね。」と大西さん。さらに焼く人と並ぶ人がコミュニケーションをとれることで、非常時にもパニックを防ぐメリットもあるという。またイベントを手伝うことで自然と焼き方を覚えるため、わざわざ炊き出し訓練を行う必要もない。
こうした日々の暮らしに溶け込んだ防災は、ハード面の整備にも活かされている。マンションの敷地に入ってすぐ目に入る井戸もその一つだ。平成18年7月、住民たちの要望を受け、深さ30メートル、毎分140ℓの水が湧き出る「防災井戸」を完成させた。
「過去の震災での災害関連死は、トイレの我慢が疾病やストレス、既存症の重症化につながり死に至るというケースが多いと言われています。さらに阪神・淡路大震災で被災された住人から『生活用水がなくて困ったから、早急に井戸を掘ってほしい』という声が上がったこともあり、井戸の掘削を決めました。」
また、井戸を公園に整備したことで、自然に住人たちが集まる場にもなった。
「私が井戸掃除を始めると、声をかけに来てくれる人や差し入れをしてくれる人、手漕ぎポンプで遊ぶ子どもたちもやって来ます。掃除が済んだ後は井戸端会議が始まり、ものすごくいいコミュニケーション空間になるんです。」
冬になると、子どもたちの提案でイルミネーションが輝く。
「要望を聞くことで、子どもも大人も関係なく、自分は間違いなくこのまちをつくっているメンバーだという意識を持ってもらえます。このマンションで起こることは全部がコミュニケーションであり、防災訓練です。」
何かを生み出し継続することは、新たな派生につながることがわかったという大西さん。例えばラジオと書籍による啓発活動もその一つだ。

 

夏祭りなどのイベントでは欠かせない、マンションに常備されている「イカ焼き器」

夏祭りなどのイベントでは欠かせない、マンションに常備されている「イカ焼き器」

 

平成18年7月に完成した、マンションの敷地内にある「防災1号井戸」

平成18年7月に完成した、マンションの敷地内にある「防災1号井戸」

 

 

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