すごいすと取材記

指揮者佐渡裕 さん(53) 兵庫県

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見出し:芸術文化センター 芸術監督に就任

佐渡裕さんは、京都市立芸術大学を卒業後、レナード・バーンスタインや小澤征爾氏といった世界的な指揮者に師事。平成元年には、若手指揮者の国際的な登竜門であるフランスのプザンソン国際指揮者コンクールで優勝。プロの指揮者としての活躍の舞台を世界に広げていった。

写真:指揮をする佐渡裕氏

平成7年1月17日、午前5時46分。直下型大地震が阪神・淡路地域を襲う。未曾有の大災害に見舞われまちの姿が一変したが、指揮者の自分には何もできない。無力感にとらわれ、動くことができなかった。この時、被災地に対して何もできなかったことが、心の奥底でひっかかりとなっていたという。

そんな時、「劇場を中心に、このまちを震災前よりずっと優しく、ずっと逞しいまちに」と知事から依頼を受ける。「音楽人生の一つの転換点となった」という兵庫県立芸術文化センター(以下「芸文センター」)の芸術監督への就任だ。

依頼を聞いた佐渡さんは、まちと音楽を関連づける発想に衝撃を受け、身震いしたという。芸文センターは阪神・淡路大震災から10年という節目を迎える平成17年の開館を目指し、「心の復興、文化の復興」のシンボルとして西宮市に新たに誕生する劇場だ。たくさんの人たちが犠牲となったこの地で、単に音楽を演奏するだけでなく、前を向いて新しいまちづくりに力を注ごう。そう決心した佐渡さんは、開館3年前の平成14年、復興のシンボルとなる劇場の芸術監督を引き受けた。震災発生から感じ続けていた後ろめたさの中、「やっと自分の役割が回ってきた」という思いだった。

復興に向けて努力してきた地域の人たちにとって、音楽とは何なのか。劇場が生まれることで、まちをどう元気づけることができるのか。「まちをつくるための音楽」という新しい取り組みに、佐渡さんは覚悟を持って臨んだ。

写真:兵庫県立芸術文化センター外観

 

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