すごいすと取材記

合唱指導者鈴木史朗 さん(85) 兵庫県

ギャラリーを見る

造船の町に生まれて

 姫路工業大学(現兵庫県立大学)機械科卒業という希代の音楽教師、鈴木さんは、時計商の長男として生まれた。音楽との初めの出会いは3~4歳のころの「いたずら」。長姉が弾く足踏みオルガンに近づき、背伸びしても見えない鍵盤をたたこうと必死になった。「音にひきつけられたのか、じゃまをしたかっただけなのか。よく姉とけんかになりました」と笑う。

 楽器や歌を習うことはなかったが、本物の音楽を聴く機会には恵まれた。播磨造船所(現(株)IHI)が開催したコンサートには当時一流のアーティストがしばしば招かれ、町の子どもたちも気軽に入ることができたのだ。ゴザ敷きの観客席でじっとしていられず、舞台にかぶりつきになっては叱られた。進水式ではブラスバンドのさっそうとした光景に胸が躍った。造船の町で鈴木さんは、生活の中にある音楽を、釣りやベーゴマで遊ぶのと同じように楽しんでいた。

海と山と平野に囲まれた相生市。鈴木さんが幼いころは自然の象徴カブトガニと遊んだという。

海と山と平野に囲まれた相生市。鈴木さんが幼いころは自然の象徴カブトガニと遊んだという。

1 2 3 4 5 6