すごいすと取材記

生田地域活性協議会 事務局長田村伊久男 さん(67) 兵庫県

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「そばカフェ生田村」 クチコミで評判に

そばカフェのスタッフは18人、平均年齢約63歳。営業時間はあえて土日祝の昼間のみとした。一見スタッフの人数が多いように見えるが、そばの実の収穫量との兼合いと、スタッフの大半が稲作農家で繁忙期が同じということもあってシフト制で店を回している。

スタッフの誰もが一定レベルのそば打ちができるよう定期的に研修も行っていて、いつ誰がシフトに入っても一定のクオリティのそばを提供できるようにした。

そうして努力を重ねた結果、クチコミ客がじわりと増え、来店者数が年間約10,000人となった。スタッフのなかから「せっかく遠くから来てくれるのだから、安く提供してはどうか。利益が出ない分は無償で働いてもいい」という声が上がった。

「お客様に喜ばれるサービスを提供したいという気持ちは大事なのですが、長期的にそばカフェを運営していくには、無理をしすぎず、仕事のモチベーションを維持することが重要です。そのためには、たとえ少額であっても有償で働くことに意味があることを、スタッフに説明して理解してもらいました」と、田村さんは言う。

そばカフェは純利益が出るほど儲かってはいないが、赤字にならずなんとか存続できている。赤字になるとたちまち立ち行かなくなるため、スタッフ一人ひとりに経営者感覚で危機意識を持ってもらい、無駄は極力削減している。

「昔から何をやろうとしてもまとまらない」と言われた生田地域だったが、こうした取り組みを積み重ねていくうちに、「地域のことは自分たちが協力して何とかしていこう」という気運が高まってきた。

そして、一人でも多くの人にリピートしてもうらえるよう新メニューの開発やそば打ち技術向上の研修などに全員で取り組んだ。

今では、スタッフはそばカフェで働くことに生きがいややりがいを持ち、大事な居場所だと感じているのを田村さんは実感している。

昨年11月には、そうした努力が認められ、農林水産大臣賞を受賞。生田地域の事例は、地域住民全員で取り組む地域活性化の成功モデルとして他府県からも注目されている。

写真:田村さんが撮影した、そばカフェの仲間たち

田村さんが撮影した、そばカフェの仲間たち

写真:「鴨せいろ」は、そばはもちろん鴨や葱も地元産

「鴨せいろ」は、そばはもちろん鴨や葱も地元産

写真:徹底した本物志向でそばのクオリティもこだわっている

徹底した本物志向でそばのクオリティもこだわっている

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