すごいすと取材記

NPO法人なごみ田村幸大 さん(33) 兵庫県西宮市

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地域を動かした、学生たちの声

 

「鳴尾東地域で、いろいろな活動に取り組みたいんです。」
平成28年7月、関西学院大学社会学部のゼミ生たちがやってきました。田村さんは、学生たちにまず地域のニーズ調査を提案。一年間をかけ地域資源や課題の調査を住民と一緒に行いました。
「その結果、見えていた課題が整理され、見えていなかった課題が明らかになりました。それらを地域で共有した時、課題の原因や手をつけ始めるところが明確になり、様々な地域プロジェクトを始めるきっかけが生まれたんです。」
特に、地域住民と学生の間で課題の捉え方が違ったことが、興味深かったと言う田村さん。
「若い担い手が出てこないと思っている地域住民に対し、学生たちは、そもそも新たな担い手を受け入れる環境が地域の中にないのではないかと言ったんです。」
この学生たちの声をきっかけに、地域の意識が少しずつ前を向き始めることになりました。若い担い手を発掘し、受け入れ、育てる環境づくりに地域を上げて取り組むことを決めたのです。
「そのために、まずは自分たちのまちを地域全員がもっと知って考えるためのプロジェクト、『地域(まち)のがっこう』を立ち上げることになりました。」
内容の模索に1年、試行に1年をかけ、3年目には西宮市との協働事業としてスタート。地域の人を講師に、地元の仕事や歴史を学び合いました。4年目の今年度は、地元の小中学校と連携し、より若い世代を巻き込む「がっこう」づくりに動き出しています。
こうした様々な活動への取り組みを通し、少しずつ地域力を強めていった鳴尾東。そして令和元年には、年月をかけて温め続けたまちづくり事業がスタートしました。

 

平成28年7月より始まった、住民と関西学院大学社会学部のゼミ生が連携した「鳴尾東つながるプロジェクト」地域報告会では、地域の重要な課題を参加者と再確認しました

平成28年7月より始まった、住民と関西学院大学社会学部のゼミ生が連携した「鳴尾東つながるプロジェクト」地域報告会では、地域の重要な課題を参加者と再確認しました

 

平成30年9月、住民主体の学び場「地域(まち)のがっこう」が開校

平成30年9月、住民主体の学び場「地域(まち)のがっこう」が開校

 

なくすことが目標の事業、「まちのよろず屋」

 

地域の住人同士が、日常の困りごとをワンコインで手伝う取り組み「まちのよろず屋」。この度の新型コロナウイルスの感染拡大防止に伴う外出自粛時にも、支援の手が届きにくい高齢者を中心にサポートを続け、今では地域に無くてはならない事業のひとつです。

 

ワンコインで手伝う取り組み「まちのよろず屋」

 

鳴尾東ならではの特徴は、有償ボランティア事業と既存の無償ボランティア事業が連携して展開されていること。この仕組みをつくるため、4年もの歳月が準備に費やされました。
「無償の活動と有償の活動を上手くリンクさせるためには、ボランティア活動に携わっている人たちから、『鳴尾東地域には新たに有償で助け合える仕組みがいる』と声を上げてもらうことが必要でした。その発声までの4年間でした。」と田村さんは振り返ります。
「当時、ボランティアセンターへの相談は年間ほぼゼロ件。『今助けて欲しいのにすぐ動いてもらえない』『年配の登録者では応えてもらえない』『無償では気を使って頼みにくい』といったことが原因でした。ボランティアセンターの見直しと同時に、誰もが頼みやすい仕組みも地域に必要だという声が、話し合いの中で自然と生まれていったんです。」
その結果、既存の無償ボランティア事業と並行してワンコイン事業を進めようと、地域全員が意識を共有できました。
「話し合いを持たないまま有償ボランティア活動を始めては、既存の無償ボランティア機能がどんどん低下して大事な地域資源を失ってしまいます。ボランティアセンターで受けられるニーズは、ボランティアセンターで対応してもらう。できないことは、まちのよろず屋で受ける。そうすることでボランティアセンターも活性化し、いい関係が実現しています。」
将来的には、まちのよろず屋はなくていいと田村さんは言います。
「ワンコインは、地域の知らない人同士がつながるきっかけに過ぎません。つながりができれば、ワンコインがなくても手伝える関係ができるはず。実際にこの1年で、よろず屋を通してつながった人たちが助け合う事例も生まれています。」
「地域の若い人は、近隣同士が自然と助け合える時代があったことを知らない。まだそんな頃を懐かしがることができる人たちがいる今、もう一度地域のつながりを実現するべき。そのタイミングは今しかない。」
まちのよろず屋事業に共鳴した人の、この言葉が印象深いと話す田村さん。あの頃の地域の姿に戻る日を夢見ながら、少しずつまちが変わろうとしていることも実感しています。

 

新型コロナウイルスの感染拡大防止に伴う外出自粛時にも、十分な感染予防対策を施したうえで、高齢者を中心にサポートを続けました

新型コロナウイルスの感染拡大防止に伴う外出自粛時にも、十分な感染予防対策を施したうえで、高齢者を中心にサポートを続けました

 

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