すごいすと取材記

淡路東浦ため池・里海交流保全協議会谷正昭 さん(70) 兵庫県淡路市

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東浦から洲本へ、東播磨へ…かいぼりの輪が拡がっていく

 

復活の日から10年間で、のべ16カ所のかいぼりを行なってきた谷さんたちだが、かいぼり以外の活動も多岐に渡る。例えば、土地改良事務所が中心になって行う「ためいけ教室」では、地元の小学生たちに水を抜いた池の見学や生息している生き物についての学習機会を提供するなど、ため池の機能や役割、維持管理の大切さを伝えるサポートを行ってきた。また、平成30年に開かれた「2018ため池フォーラムinひょうご」では、ため池保全の事例発表も行った。
中でも、谷さんにとって最も印象深いのは、協議会の発足から5年目に開催した「かいぼり祭」だ。 「東日本大震災の年に開催を自粛して以来、再開のきっかけを失ってしまった地元のレンゲ祭に代わり、かいぼりでのイベントを行ってみんなを元気づけ、楽しんでもらいたかったんです。まだ組織も資金も十分ではないときでしたが、なんとか実現したいと思いました。」
力を合わせて準備したにもかかわらず、当日は激しい雨。一時は中止も検討したが、みんなの士気を下げたくないと決行。道路上に用意したブルーシートの即席プールに、イベントのためにダムの水を干し捕獲した鯉を200匹放して子どもたちを喜ばせた。
「ため池やかいぼりのことを多くの人に知ってもらうためのイベントでした。雨の中、協議会関係者をはじめ、農業者、漁業者、婦人部といった地元の有志の方々、関係行政機関(兵庫県淡路県民局、淡路市役所)の皆さんにも積極的に参加していただいた結果、『かいぼり祭』というイベントがみんなの印象に残る一日になり、開催して本当によかったと思いました。」
またある時は、かいぼりをテーマにした映画の撮影・制作協力の依頼を受け、制作会社からの取材やロケの求めに協力。2015年には映画「種まく旅人 くにうみの郷」として全国の映画館で上映された。この映画制作を通じ、農業農村整備事業を広く発信したことへの功績を讃える「第26回農業農村整備事業広報大賞(全国農村振興技術連盟主催)」や、インフラ整備・保全に関する優れた取り組みとして「第2回インフラメンテナンス大賞農林水産大臣賞」を受賞するなど、多くの評価を受けるまでになった。 さらに近年は、かいぼりに取り組む地域が少しずつ拡がり始めている。
「地元では『かいぼりを行いたい』と申し出る人が徐々に増え、理解が進んでいるのを感じます。また洲本市や南あわじ市といった近隣地域をはじめ、明石市や東播磨地域でも、農業者と漁業者、ため池関係者が一緒になってかいぼりを行う動きが出てきているようです。私たち協議会の活動が刺激になっているのだと思います。」
そんな様子から谷さんが感じているのは、かいぼりとは地域づくりだということだ。

 

「かいぼり祭り」に参加した子どもたち

「かいぼり祭り」に参加した子どもたち

 

雨にもかかわらず、たくさんの人が「かいぼり祭り」に協力した

「かいぼり祭り」では激しい雨の中、ダムの水を抜いて作業を行った

 

 

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