すごいすと取材記

特定非営利活動法人 Tプラス・ファミリーサポート谷水ゆかり さん(55) 兵庫県丹波市

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起業とは自分の居場所をつくること

 

「子どもを預ける理由は仕事や介護といったことだけでなく、お母さん自身が学習する時間が欲しい、美容院に行きたいといったことでも構いません。託児はあくまでも、お母さんたちが自分の力を発揮できるようになるための切り口の一つ。悩み事や相談事を聴き、必要な相談先や協力先へつないであげたり、手伝ってあげたりすることが目的です。」
谷水さんが本当に実現させたかったお手伝い。それが、丹波市初となった女性起業支援事業だった。
「得意なことや好きなことを発揮する場所があり、それがお金という対価となって手に入れば、自分の存在価値が上がったことを実感できます。自分を表現し自己実現を果たすことは、自分の居場所をつくること。だから私は起業を勧めるんです。」
Tプラスでは一年かけて起業を支援する。得意なことや起業に取り組む上で困っていること、叶えたい夢を面談で確認。起業に必要なことを講座で学び、一年後にビジネスプランを発表して卒業する。これまでに、手づくりアクセサリーで起業した人、夫の被扶養者ではなくなったグラフィックデザイナーなど、一歩を踏み出した女性たちがTプラスから数多く誕生した。
そんな起業支援に取り組む中で、谷水さんを感激させたプレゼンテーションがあった。
「病人や高齢者のための低糖質スイーツを作って広めたい、というプランでした。低糖質でも甘味を感じさせるための工夫を研究し、病床にいる自らの父親のために作って食べさせるとすごく喜んでくれたそうです。その時の父親の笑顔が、自分の起業の動機だという発表でした。みんな誰かの役に立ちたいと思っているんです。そんな人たちをうまく繋ぐことができれば、気持ちのこもった温かい事業になることを実感しました。でも、いざ始めようとすると、外出が多いと家族から責められたり、子どもが熱を出したりするものです。今まさに伸びようとするお母さんが出そうとする一歩を止めさせてしまうのは、こうした家庭環境だったりするのです。そんなお母さんたちをサポートするために私たちがいます。」
託児の現場で母親たちから受け取る感謝の気持ちや、起業を目指す受講生たちの成長を目の当たりにした感動。そんな数々の喜びの中で、谷水さんが最も印象深く受け止めたのは「20年続いていることがすごい!」という言葉だった。

 

ビジネスプランの発表には、起業を目指す受講生それぞれの想いが込められている。

ビジネスプランの発表には、起業を目指す受講生それぞれの想いが込められている。

 

専門家講師の指導により、ビジネスプランを形にしていく受講生たち。

専門家講師の指導により、ビジネスプランを形にしていく受講生たち。

 

 

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