すごいすと取材記

加西市鶉野を平和学習のまちに!
飛行場跡を“戦争遺跡”に再生させた
上谷昭夫さんの“使命”

鶉野平和祈念の碑苑保存会 上谷昭夫 さん(82) 兵庫県加西市

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鶉野飛行場の歴史を、史実として伝え残すために

 

「訓練をしたこの思い出の地に、亡くなった特攻隊員63名を弔う慰霊碑を建てて欲しい。」
攻撃機の最後の訓練生だったという人が、雑誌への投稿記事を読み、上谷さんの元へやってきました。鶉野にも特攻隊にゆかりのある人たちが多数いたことから、平成10年、鶉野平和祈念の碑苑建立実行委員会(平成11年に鶉野平和祈念の碑苑保存会、平成28年に一般社団法人化、以下保存会)を立ち上げ、祈念碑の建立に向けて動き出しました。海軍飛行予科練習生だった人、休日の兵士たちを家庭に招いてもてなした人、さらに地元の自治会関係者も加わり尽力した結果、平成11年11月、平和を語り継ぐ「平和の祈念碑」が完成。保存会の主催により、毎年10月の第1日曜に祈念式典が開催されています。

一方、上谷さんは史実の調査・保存活動に、ますます深く取り組んでいきました。平成 11年および14年には、調査研究の成果をまとめた著書を出版。平成16年には、調査で判明した史実を多くの人に知って欲しいとの想いから、兵庫県いなみ野学園(*)に入学しました。
「飛行場のことを、多くの人に向けて発表する機会ができるのではないかと考えたんです。おかげで大学の研究発表や大学院の卒業論文を通じ、鶉野飛行場の史実を記録として残すことができました。」

こうして上谷さんが一つひとつ掘り起こした史実を活かすため、戦争遺跡として地域づくりに活用しようと動いたのが加西市教育委員会でした。平成22年から、飛行場跡の一画に研究センターを構えていた神戸大学と共に、歴史遺産としての学術的な基礎調査を実施。飛行場跡の周辺に残る防空壕など、数々の遺構も含めた戦争遺跡としての開発と、保存活用への動きに拍車がかかる中、平成26年、上谷さんは飛行場跡地のすぐそばで、空き店舗を利用した資料館を開設。特攻隊員たちの遺書や鶉野飛行場の歴史など、貴重な資料や写真、また戦闘機の模型を展示し、保存会のメンバーと共に、訪れる多くの人たちに平和の尊さを訴えてきました。こうした上谷さんの活動は、さらに加西市を動かすことになりました。

 

*兵庫県いなみ野学園:高齢者の生涯学習の一環として、高齢者に体系的な学習機会を提供するため、兵庫県が昭和44年に全国に先駆けて開設した高齢者大学。4年制の大学講座及び2年制の大学院講座を開設している。

 

祈念式典で合唱する「いなみ野学園コーラスサークル部」

祈念式典で合唱する「いなみ野学園コーラスサークル部」

 

いなみ野学園36期高砂支部同期生の皆さん

いなみ野学園36期高砂支部同期生の皆さん

 

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