すごいすと取材記

多可町中央公民館 播州歌舞伎クラブ 代表山根加織 さん(33) 兵庫県

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次代へ播州歌舞伎を伝えていきたい

クラブ代表になった山根さんは、師匠が子どもたちへ指導をしに行くときに同行する機会が増えていった。そのなかで、小学生への指導の仕方をはじめ、隈取の施し方、着付けなど、舞台にまつわる重要な要素を一つひとつ貪欲に吸収していった。

やがて山根さんにも小学生を指導する機会が訪れ、その難しさに直面して愕然とした。小学生から見れば母親よりも若い「お姉さん」だ。年齢も風格も異なる師匠が指導する時とは違って、子どもたちはなかなか言うことを聞いてくれなかった。思うように指導できず、もどかしさを感じていた。

しかし山根さんは、それぞれの子どもに合わせた教え方があることに気づく。

師匠の代理として岐阜県に指導に行ったときのこと。子どもたちが台詞を頭に入れてきてからの2週間は、本番まで毎日つきっきりの指導だ。最初は子どもたちのエンジンのかかりが遅くてハラハラさせられていたが、この地域の伝統であり、神聖な祭りの舞台に立つことに誇りと責任を感じている子どもたちは、本番が近づくと一気に仕上げた。その瞬発力や集中力に驚かされた。

また、地元の「中町北小学校 播州歌舞伎クラブ」では、発表会直前の稽古にもかかわらず台本が手放せない児童がいた。台詞覚えに集中させたところ、発表会では立派に演じ切ることができた。

こうして指導者としての経験を重ねて指導方法に緩急をつけられるようになってきた山根さんは、「師匠のように良いところは褒めますが、はっぱをかける意味で厳しい言葉も投げかけます。信じて接すれば、頑張ろうという意欲がわきますから」と、力強く語る。

「師匠からも小学生への指導を受け継ぐように指名されたわけではないんですけどね」と楽しそうに話す山根さんだが、日増しにクラブ代表としての責任感はもちろん、播州歌舞伎の伝承者としての自覚が大きくなっている。そうした播州歌舞伎の指導が地域活性化に貢献していると認められ、山根さんは平成23年に内閣府から表彰(社会貢献青少年表彰)された。山根さんにとってもクラブにとっても励みになっている。

写真:中町北小学校の「隈取教室」で山根さんが生徒に隈取を施す。

中町北小学校の「隈取教室」で山根さんが生徒に隈取を施す

写真:本番に向けた通し稽古をする中町北小学校の生徒と山根さん。

本番に向けた通し稽古をする中町北小学校の生徒と山根さん

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