すごいすと取材記

猟師吉井あゆみ さん(48) 兵庫県

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命を生かす

「こういった暮らし方になってきたのも成り行きやったと思います。いろんな人と出会えたタイミングかな」そう吉井さんは語る。

「朝来に来てから出会いが広がっていきました。例えば、あるとき丹波市青垣町に県の森林動物研究センターが設立されることになり、その事前研修先にうちが選ばれた。そのとき紹介した鹿肉料理がきっかけで、その後センターに鹿肉の有効活用検討グループができることになったんです」

兵庫県でも、鹿による農作物や森林への被害が深刻化している。「駆除」という形で対策がとられているが、その多くは焼却処分されてしまっている。

ある視点からは害獣とされる鹿たちだが、それぞれ命を持った生きものたちだ。

「単なる殺生ではなく、せめて食べることで命を生かしたい」と吉井さんは考える。

「命を取るということから目を背ける人が多いけど、誰だって命をいただいて生きている。スーパーでトレイに入ったお肉も、もともとは地を駆けていたのだから」

自身の考えを語る吉井さん

有効活用のためには、たくさんの人の間に安い値段で広めていく必要がある。それに対応できるよう、吉井さんたちは小規模な処理施設を持った。

「保健所に申請に行ったら、屋号がいりますよって言われて。仲間内で作ったものだから、屋号なんてないですって言ったのですけど。で、みんなでいろいろ考えて『お狩庵』にしました」

県から施設補助もあり、今後はこの施設を拠点に有効活用をさらに進めたいと考える吉井さん。捕獲者を限定することで上質な鹿を安定的に仕入れ、供給を行えるような仕組みづくりを進めている。

吉井さんがブログで紹介したレシピに給食センターから問い合わせがあったことも。
「ほんとに話が話を呼んで、という感じ」試食会に呼ばれ、出向くことも増えたという。

吉井さんが提供した鹿肉や猪肉を使って、地元の高校生や企業が食品を開発するなど、地域ぐるみで利用が進みつつある。

試食会の風景

試食会での吉井さん、レシピもご自身で考案される

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