すごいすと取材記

NPO法人多言語センターFACIL 理事長吉富志津代 さん() 兵庫県

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老若男女、国籍も関係ない場

吉富さんが、支援活動をはじめた長田区野田北部地区と最初に関わりを持ったのは、震災の2年前のことだった。

平成5年、市民団体に招かれる形で、スペインから「ベンポスタ子ども共和国」というサーカス団が来日し、国内各地で公演を行った。外語大を出て領事館などでスペイン語を使う仕事に就いていた吉富さんは、神戸公演でボランティア通訳を務める。その神戸での歓送迎会が行われたのが鷹取教会だった。

ベンポスタは、さまざまな国出身の子どもたちが中心となって構成され、サーカスで世界に平和のメッセージを伝えていた。当時、小学生の子ども2人の母親だった吉富さんは、いきいきと活動する彼らの明るく逞しい姿に魅了され、勇気づけられた。

神戸での日本最終公演が終わり、地元住民が中心となって、教会近くにある大国公園で打ち上げの盆踊り大会が開かれた。地域の人たちが河内音頭や炭坑節で踊る盆踊りの輪の中に、ベンポスタの子どもたちや運営ボランティアが加わった。地域の人たちも、彼らからサルサダンスを教えてもらって一緒に踊った。

「年齢、性別、国籍も関係なく、みんなで踊ったことが今も目に焼きついた心に残る思い出です」

その後の吉富さんが「多文化共生」の具体的なあり方をイメージする時、いつも思い起こされる象徴的なシーンとなった。

震災翌年秋の「復興まちづくりまつり世界鷹取祭」には、ベンポスタのサーカス団も参加した。

 

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