すごいすとも、学生も、地域住民も。行き交い、混ざり合うことで見えてきたものとは。 〜すごいすと交流会レポート
- 公開日
- 2026/03/27

令和7年度すごいすと交流会は、2026年2月7日(土)、兵庫「すごいすと」インターンシップ最終成果報告会に続いて開催されました。すごいすと、学生、地域住民や企業の方の約30名が参加。世代も立場も違う方々が、すごいすとの話を聞いて自分自身に生かしたり、新しい関係性が生まれたりする場となりました。会場は、デザイン・クリエイティブセンター神戸(KIITO)(兵庫県神戸市)です。
すごいすとは、変わり続ける。―すごいすとピッチ―
前半に行われたのは、すごいすとピッチ(すごいすとによる短いプレゼンテーション)。5人のすごいすとが自らの事業や構想について話しました。その場で多く発せられたのは、「取材してもらった時とは違って」や「いま考えているのは」といった枕詞。活動を続けながら、さらに新たな取り組みに挑戦し続けるすごいすとの様子をうかがい知ることができました。

慈(うつみ)憲一さん(naddist(ナディスト):摩耶山・マヤ遺跡ガイドウォーク、東神戸マラソン、灘大学など、神戸市灘区を拠点に多くの「まちあそび」を手がける)
慈さんの記事(掲載日:2023/03/12)はこちらから。
「僕はまちづくりに挫折して、まちあそびを始めたんです。いま、もう一度まちづくりについて考えてみようかなと思っています」。そう話す慈さんは、神戸市灘区での実践をもとに書籍『レジスタンスのまちづくり』を2026年春に刊行予定。「ぼちぼち」、「たまたま」、「だらだら」……。独自の思想でまちに関わり続けてきた慈さんならではのキーワードが紹介されました。

瀧井智美さん(株式会社ICB:女性の就労をサポートするキャリアカウンセラー。キャリア開発、組織の活性化、人材育成を支援する)
瀧井さんの記事(掲載日:2019/03/25)はこちらから。
兵庫県と神戸市が共同で2022年に創設した「ひょうご・こうべ女性活躍推進企業(ミモザ企業)認定制度」では、兵庫県内で女性活躍推進に取り組む企業を認定しています。瀧井さんは、「学生が地元にある魅力的な企業に出合えるようにしたい」との思いで、「学生とミモザ企業のマッチング推進事業」に関与。プレゼン後、瀧井さんに相談する学生の姿も見られました。

大野篤史さん(株式会社glaminka:佐用町や神河町で、一棟貸しのグランピング古民家を手がける。数年来構想していたアパレル事業を2025年スタート)
大野さんの記事(掲載日:2021/07/25)はこちらから。
子どもと外遊びに出かけたくなるような服を作りたいと、2025年秋にアパレルブランド「soyell(ソエル)」をスタート。「今日は佐用町のみなさんと一緒に取り組んでいることを知ってもらいたくて来たんです」と、すごいすとピッチに登壇されました。「地域の方に子どもたちの成長を見守ってもらいたい」と佐用町の親子がモデルとして参加できる撮影会を紹介。「ゼロからイチを作るのは、大変だけれどやりがいがある」と話しました。

木村幸一さん(淡路ふるさと塾:淡路の特産品をPRするための「ミス・カーネーション事業」や「日本吹き戻し保存協会」などを立ち上げている。東日本大震災発災直後には、復興支援ネットワーク淡路島を立ち上げた)
木村さんの記事(掲載日:2016/01/25)はこちらから。
名刺代わりの淡路島の名産、吹き戻し(巻鳥)とともに登場した木村さん。父の事業を引き継ぐために淡路島に移住した1975年から50年近く、ボランティアや観光PR活動に尽力しています。「地域のよさを発明する必要はないと思うんです。大事なのは『発見』すること。その過程で、地域を好きになれると思います」。

米山清美さん(にしのみや遊び場つくろう会:阪神・淡路大震災後の1999年、復興から置き去りにされている子どもたちのための遊び場を作る活動をスタート。西宮で常設のプレーパークを開設。東日本大震災や能登半島地震等でも、出前プレーパークを実施)
米山さんの記事(掲載日:2016/08/25)はこちらから。
多岐にわたる活動を紹介する中で、能登半島地震後の石川県での出前プレーパークについて、「現地の方とずっと交流し続けています。本当に必要なものは何かを聞きながら西宮の子どもたちと一緒に遊び場作りを実施しています」と話していました。今後は、「乳幼児からシニアまで、いろんな世代のための居場所を作りたい」と新たな試みも紹介。
混ざり合うからこそ生まれた驚き、共感、そして、発見。
後半は、交流タイム。
世代も立場も違う方々が自由に交流する場で、新たなつながりが生まれていました。


会場内で感想を聞きました。
市町村によって全然違う。それを知ることができたのも、面白い。

一般参加の上野さん(兵庫県内の自治体職員・写真左)×すごいすと河嶋栄里子さん(多文化共生マネージャー・同右)
――今日はどのような目的で参加されましたか?
- 上野さん
- 自治会や市民活動に関わる仕事もしながら、プライベートでもまちづくりに関わっているので、参考にさせていただければと思って参加しました。
――2人でお話しされて、いかがでしたか。
- 河嶋さん
-
小野市で多文化共生の活動をしています。上野さんからお勤めの市の現状を伺って、市によって取り組み方が全然違うこと、同じような課題があることを知ることができました。
上野さん:とても面白かったです。自分の市以外の話を聞くことがなかなかないので。こういうやり方もあるんだなと知ることができました。
交流会は初参加。分野を超えたすごいすとと出会う場になった。

すごいすと谷正昭さん(淡路東浦ため池・里海交流保全協議会)
――今回なぜ参加されましたか。
- 谷さん
- 交流会は初参加です。これだけたくさんのすごいすとがWebマガジンで紹介されていますが、なかなか横のつながりができていないので、この機会にと参加しました。
――普段はどのような活動をされていますか?
- 谷さん
- 自然環境の分野で、ため池保全の活動をしています。他の方にはなかなか馴染みがないと思います。すごいすとは取り上げられる分野も広いので、普段は他の分野の方との交流する機会はなかなかないですね。今日は、分野の違う方々の話をたくさん聞けて、参考になることが多かったです。
「自分のため」が、原動力なのかもしれない。
「自分のために始めたんです」
ピッチにて、あるすごいすとが口にした言葉です。常に進化し、変化し続けるすごいすと。会場にも、いきいきとしたエネルギーが渦巻いていました。その原動力はなんだろうと考えていたとき、この言葉がふと飛び込んできました。
自分がやりたいからやる。必要だと思うからやる。地域のために行動するすごいすとの活動が、続き、進化していく原動力のひとつが「自分のため」なのかもしれない――そう感じた瞬間でした。
会が終了し、みなさんがそれぞれ会場を後にするときに、ある2人のすごいすとの会話が聞こえてきました。
「最近は、どんなことを始めようとしているんですか」
「ふふ、また喋りましょう」
と、まるで何かを企む子どものような、いたずらっぽい雰囲気が伝わってきました。自ら考え、自ら動くことで周りを巻き込むすごいすとの原動力をここでも感じることができました。
ここで生まれた驚きや共感、発見が、何につながっていくのか、どんな試みが生まれていくのか。そんな期待が膨らむ交流会となりました。