兵庫県立太子高等学校

兵庫県立太子高等学校
(兵庫県揖保郡太子町)
兵庫県立太子高校2年 総合的な学習の時間(基本総学)

聖徳太子、没後1400年を迎える太子町。
私たちは、そんな太子町が持つ魅力をもとに、ふるさとづくりに取組んでいる方々を調べた。今回はその中でも「太子みそ」と「太子あすかふるさとまつり」のことについて取材してきた。「太子みそ」は今でも手作りで製造されており、味噌ふりかけや味噌玉が作られている。また、お菓子やラーメンなどにも使用されることがある。
「太子あすかふるさと祭り」では、地元の高校生と地域の人たちが協力して行われる。私たち太子高校生も部活動や生徒会活動として、ステージ発表や商品販売をしている。また、誰でも参加できるフリーマーケットも行っている。
このような太子町の魅力を、この記事でたくさんの人に伝えたい。

「幻のみそ」と呼ばれた太子みそ

太子加工会社で作られている様々な商品

政府の減反政策によって大豆を作り始めたことから、農協主導で味噌を作っていた。昭和40年代には農協の代表の代替わりとともに、太子町と龍野市で構成される農協の組織編成がかわっていく中で、作り手がいなくなった。そのため、「幻の味噌」と言われた。
グループの全員が太子みその名前を聞いたことがなかった。太子高校に通い始めてから地域の特産品として太子みそがあると授業で知り、どのようなものか気になったことから太子みそについて調べることになった。その際に、もっと太子みそについて知りたいと思うようになり、まず太子町にある太子みそを作っている「太子加工合同会社」とその太子みそを使ったお菓子を作っている「菓子の樹」を取材した。

太子加工合同会社のみなさん

播欧菓を製造している菓子の樹

太子町の地域活性化に役立っている太子みその魅力

幻のみそと言われた太子みそが復活した契機は平成の大合併。当時、太子町には特産品がなかったため、昔人気だった味噌を復活させようという声が太子町の役場などから上がり、現在の「太子加工合同会社」の代表である長谷川壽子さんの参加していた「生活研究グループ」に声がかかった。
現在、太子みその製造を行っているのは、太子加工合同会社だ。事業への出資が厳しい中、資金が貯まってからみそ作りが始まった。熟成期間は10カ月。原材料は太子町産の米と大豆、赤穂産の塩のみを使用している。現在の作り手は9名。作業は手作りで、生産量は現在年間15t。貯蔵庫が狭く貯蔵に限界があるため、生産量を増やすことはできない。新幹線のグリーン車の搭載誌に掲載されたことにより山陽百貨店の社長の目に留まり、今では山陽百貨店にも商品として並ぶようになった。サンテレビ、ケーブルテレビ、NHK、ラジオ関西にも取材された。太子みそを使ったお菓子などが太子町のお店に並んでいる。

原材料の大豆を茹でている様子

太子みその貯蔵庫

太子町の銘菓、播欧菓

太子みそを調べるうちに、コラボ商品を作ったお店があると知り取材することにした。同じく太子町にある「菓子の樹」だ。「菓子の樹」は、ケーキやマカロン、ガトーブランシェといった商品が人気で、幅広い年齢層の人が訪れる店だ。ここでは太子みそを使った「播欧菓(ばんおうか)」というマドレーヌがコラボ商品として売られている。今回、取材をしたのは「菓子の樹」のチーフパティシエである、井口正登(まさと)さんだ。「特産品を使って町の銘菓になるものを作りたい」という想いから、太子加工合同会社に、太子みそとのコラボレーションを持ちかけたのがきっかけだった。
この商品は企画から半年の構想を経て、2018年には本格的に太子町産業経済課と連携が始まった。3カ月間もの試作を繰り返し、ついに同年7月1日に販売を開始した。
「播欧菓」を作るにあたって、「みそを洋菓子に落とし込む作業で美味しいと思うまでもっていく中で、みそという味が強いものを繊細な洋菓子に合わせることが難しかった。」と、井口さんは話した。みそのマドレーヌということで、みその分量を調節し試作を繰り返した。普通はあまり洋菓子に使用しない上白糖などの材料を使って美味しくすることには苦労したそうだが、いろいろな発想やこれまでの菓子作りで培った経験を活かした。
「コラボ商品を作ったことで太子みそを使った『播欧菓』が太子町の銘菓として認識されていっていることや、商品名の『播欧菓』と検索すると、太子みそのページにつながるように商工会の人が協力してくれたことも嬉しかった。また、コラボ商品を作る過程で、産業経済課、商工会、太子加工合同会社の方々からの意見を商品作りに活かせたことが良かった。」と、井口さんは話した。
「播欧菓」の味は食べた最初にみそを感じさせず、後からみその余韻が残る感じだ。そこに苦労があったという。この「播欧菓」は、テレビやラジオにも取り上げられるようになりお土産として多くの方々に買われるようになった。「太子町」や「太子みそ」の認識にも貢献している。

太子みそを使っている播欧菓

菓子の樹のパティシエ井口正登さんに取材をしている様子

今回の取材を通して、太子みそが地域の活性化に貢献していることを知った。取材の際に太子みそを味わわせていただいて、太子みそは市販のみそと比べると甘味のあるみそだと感じた。まだまだ知名度が低いのでもっと皆さんに太子みそを知ってほしいと思う。皆さんも太子町で復活した幻のみそ、太子みそを味わうために太子町を訪れてみてほしい。

太子町 一番☆太子あすかふるさとまつり

地域でよく知られている「太子あすかふるさとまつり」について調べるため、太子町商工会に取材した。
そもそも、なぜ太子あすかふるさとまつりについて調べようと思ったのかというと、どの年代の人でも一緒に盛り上がれるイベントであり、他の地域の人にも祭りの楽しさを知ってほしいからである。

時代パレード

太子あすかふるさとまつりは、平成8年に太子町が購入した電機メーカーの跡地を利用して文化施設を作ったことで始まった。太子高校生は色々なステージや地元の特産品を使った食品を提供。太子町の地域の人はお菓子やカレーなどを販売しており、また、太子町民以外の人も参加できるフリーマーケットなども行われている。私たち太子高校生は、太子町唯一の高校として参加している。Jコーラス部、ダンス部、吹奏楽部のステージ発表では、エネルギー溢れる舞台となっていた。調理手芸同好会は地元の特産品のいちじくと太子みそを使ってオリジナル商品を販売。自分たちで地元の特産品を使ったメニューを考えていて、すごいと思った。生徒会は、聖徳太子などのコスプレをして時代パレードに参加。また、ゆるキャラや盲導犬協会募金活動も行い、幅広い年齢層のお客さんに来てもらえるように地域の祭りを盛り上げることを目標として高校生パワーを届けている。

フリーマーケットの様子

太子町商工会の思い

太子あすかふるさとまつりを実施するにあたって、大変だったことや嬉しかったことを伺った。

商工会でのインタビューの様子

「同じことをしているとお客さんも飽きてしまうため、新しいことを考えることが大変だ。しかし実際に、ペットボトルアートや、マッチ箱を使ったモザイクアートを企画し、やってよかったと思う」と太子町商工会は言う。このように、行事を一つするにも大変なことはたくさんあるが、それ以上に嬉しいこともたくさんあると感じた。
今後の意気込みを聞いてみたところ、「太子町から仕事などで出て行った人が、11月3日は太子町に帰ろうと思えるような太子町で一番のイベントにしたい」と、力強いコメントが返ってきた。そのために、新しいことをたくさん考えているそうだ。例えば、3、4社に協力してもらいながら企業ブースを作ったり、オレンジリボンキャンペーンなどの小物づくりを行ったり、また、愛犬家だった聖徳太子の影響で、時代パレードにコスプレした犬も10匹参加したり、時代パレードクイズで当たった人には特産品をプレゼントするなどということも行っている。

太子高校抜きでは考えられない太子あすかふるさとまつり

太子あすかふるさと祭りに、太子町唯一の高校として参加している太子高校の校長の松浦りつ子先生にも取材を行った。

校長先生にインタビューの様子

「2018年は高校生が作ったオリジナルカレーを販売することによって、マーケットに活気が出ている。また、小さい子どもから吹奏楽部やダンス部、Jコーラス部の高校生までが舞台に参加しているので、町民にとっては、地域の成長が目に見えてわかるようになっている。」
「太子町唯一の太子高校が参加することによって、太子高校にとってもあいさつなどのコミュニケーション能力向上の教育的効果があり、太子町にとってはお祭りが盛り上がる。それが、教員にとっての誇りだ。吹奏楽部などの演奏を楽しみにして見に来てくれるお客さんもいる。今では、太子あすかふるさと祭りは、太子高校抜きでは考えられないようになった。これも、長年の積み重ねだと思う。」

Jコーラス部のステージ発表の様子

太子あすかふるさとまつりの“すごい魅力”

このように太子あすかふるさとまつりは、太子町民も太子町民以外の人も協力して行われている。
今回、たくさんの人に太子あすかふるさとまつりについてのお話を聞いて、太子町商工会の方々からはこの祭りを通してさらに太子町を活性化させたいという強い想いを感じた。また、私たち太子高校生がこの祭りに参加することで、私たち自身の成長だけでなく、太子町の活性化に貢献していることをあらためて感じた。最後に、私たち太子高校生もこの祭りで参加者に楽しんでもらえるように太子町と協力して頑張っているところを一番伝えたいと思った。
是非、太子あすかふるさと祭りに来て、皆さんにも自分の思う魅力を見つけてほしい。

太子町役場・太子町商工会の方々と集合写真

今回「太子みそ」と「太子あすかふるさとまつり」の2つの「すごいすと」を取り上げたが、太子町にはまだまだ多くの「すごいすと」がいると思う。
今回の取り組みを通して、「すごいすと」が活躍するだけでなく、それを支える多くの人たちが参画することによって、町が活性化すると思った。
他にも太子町にはたくさんの魅力があると思うので、これからも見つけていきたい。

2年生の「総合的な学習の時間(基本総学)」の中で取り組んで頂きました。
太子町と言えば、斑鳩寺など聖徳太子ゆかりの地であるからこそ、地域情報も聖徳太子にまつわるイベントや地域資源がたくさん出てきました。
それ以外にもっと調べてみようと進めてきた中で、幻の味噌「太子みそ」があるらしいと情報をつかみました。
さらにインターネットで調べていくと、太子町特産品「太子みそ」を使ったマドレーヌ播欧菓へと繋がってきました。

取材先のアポ取りも、生徒自身がアポ取り原稿を作って行いました。
もちろん初めての経験だったので、先方に電話をかけて取材の意図を伝えて日程調整をしていく時の張りつめた緊張感と、電話を終えたときの生徒の安堵感は今でも忘れられません。

原稿の中にも紹介がありますが、Jコーラス部という地域に出て活動している部活動を中心に地域との触れ合いが積極的に実施されていましたので
太子あすかふるさとまつりに詳しい生徒はたくさんいました。

先生の協力もあって生徒自身が取材を行うことができたので、企画趣旨やそれを作り上げていく想いや熱量、そして苦労話といった普段はなかなか表にでないようなことに直接聞くことができたこと自体も
貴重な経験になったと感じています。

ライター講座の様子

カメラ講座の様子

初めて一眼レフに触れる生徒たち

ワークショップを通して地域資源を出し合う

取材準備や原稿の構成を考える生徒たち

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この記事を書いた⼈
NPO法人コミュニティリンク (担当)中西