ええまち比也野里(ひやのさと)

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2019/02/01
西脇市比延
ええまち比也野里(ひやのさと)

西脇市比延地区のええまち比也野里の地域活動、「ええまち」を「もっとええまち」にしている事例をご紹介。

「ええまち」を
「もっとええまち」に。

西脇市の東部に位置する8町からなる「比延地区」。面積は、阪神甲子園球場約1100個分以上にも及び、市の約3分の1を占める。日本の中心といわれる東経135度と北緯35度が交差することで有名な「日本へそ公園」や、元日にはご来光登山者が多数訪れる、西脇市最高峰の西光寺山などがあり、独特な風情が漂うまちである。

「比延」の名は、播磨国風土記(※1)によると、応神天皇(※2)がこの地で狩りをした際に鹿が「ひひ」と鳴いたことを哀れに思い、狩りを中止したことから、その山を「比也山」、野を「比也野」と名付けられたことに由来する。そして、そのふもとにある町を、「比也野里」と呼ぶ。

現在の人口は3712人で、高齢化率は36.3%。多くの市町村と同様に、人口減少や少子高齢化の波が押し寄せている。

そんな中、『ええまち比也野里』は、日々よりよい比延を目指して奮闘している。

『コミュニティセンター』に隣接する 『へそ・で・ちゃ』。手作りの美味しい総菜、日用品などの商品の販売所やギャラリーがある。
『コミュニティセンター』に隣接する 『へそ・で・ちゃ』。手作りの美味しい総菜、日用品などの商品の販売所やギャラリーがある。

移動販売車『笑顔いっぱい比也野号』。車体に描かれたイラストにより、宣伝カーとしての役割も果たす万能の車。
移動販売車『笑顔いっぱい比也野号』。車体に描かれたイラストにより、宣伝カーとしての役割も果たす万能の車。

『へそ・で・ちゃ』のギャラリーで展示されていた作品。気に入った物があれば購入することも可能。

『ええまち比也野里』

平成26年に、「まちづくり協議会(シニア世代中心)」と「まちづくり委員会(ミドル世代中心)」が、ひとつとなり結成された。現在総勢100名を超えるメンバーが、『こみせん比也野』を拠点に、様々な活動に取り組んでいる。

毎年4月には、地元の名産品「高嶋町のタケノコ」の収穫祭を開催し、美味しい天麩羅やタケノコご飯などを振る舞う。アクがほと んどなく、やわらかいと評判で、「今まで私が食べていたのは筍じゃなくて、竹だったの!?」と舌鼓を打つ方も多い。

タケノコ収穫・比也野まつり
タケノコ収穫・比也野まつり

毎月、月初に全戸 配布される『ええまち比也野里だより』。
裏面に、前月の初めにミーティングで決められた、 1 ヵ月分のメニューが掲載されている。
人気メニューを狙うリピーターもどんどんと増えてきた。
食べたいメニューが売り切れる前にあなたも『へそ・で・ちゃ』へ。
毎月、月初に全戸 配布される『ええまち比也野里だより』。 裏面に、前月の初めにミーティングで決められた、 1 ヵ月分のメニューが掲載されている。 人気メニューを狙うリピーターもどんどんと増えてきた。 食べたいメニューが売り切れる前にあなたも『へそ・で・ちゃ』へ。

また、11月には、住民が楽しみにしている『比也野まつり』を開催。30年度は10回目の節目の年で、メンバーが一丸となって取り組み、大盛況となった。

『へそ・で・ちゃ』

こみせん比也野では、比延のお母さん方のご飯を味わうことのできる『へそ・で・ちゃ』も営業している。営業時間は、火曜日~土曜日の10時~15時30分で、日替りの手作り総菜や、採れたて野菜などが販売されている。飲食スペースもあり、総菜をその場でいただくこともできる。

飲食スペース昼時には、地域の方々が集う。
飲食スペース昼時には、地域の方々が集う。

販売コーナー総菜、とれたて野菜、日用品など豊富な品揃え。
販売コーナー総菜、とれたて野菜、日用品など豊富な品揃え。

野菜はもちろん米まで比延地区で採れたものを使用しており、まさしく地産地消。『お袋の味』という言葉がぴったりといえる優しい味。ボリューム満点、栄養も満点だ。

取材当日のメニューは、おでん、ポテトサラダ、鮭とひじきのちらし寿司。おでんは、出汁がしみて最高!ちらし寿司も鮭のアクセントが絶妙で箸が止まらなかった。
取材当日のメニューは、おでん、ポテトサラダ、鮭とひじきのちらし寿司。おでんは、出汁がしみて最高!ちらし寿司も鮭のアクセントが絶妙で箸が止まらなかった。

毎月、月初に全戸配布される『ええまち比也野里だより』。裏面に、前月の初めにミーティングで決められた、1ヵ月分のメニューが掲載されている。人気メニューを狙うリピーターもどんどんと増えてきた。食べたいメニューが売り切れる前にあなたも『へそ・で・ちゃ』へ。

『お母さん』のおひとり吉岡さん
『お母さん』のおひとり吉岡さん

『笑顔いっぱい比也野号』

比延地区には、近くにスーパーやコンビニがない場所もある。そして、車の運転が出来ないため移動手段がなく、生活必需品を手に入れにくい買い物弱者が少なくなかった。

そこで、走り始めたのが、移動販売車『笑顔いっぱい比也野号』。毎週火曜日と金曜日に、ポップなメロディと共に、比延地区8町を周回。お菓子や日用品、そして一押しの手作り総菜が満載で大人気だ。

当初は週1回だったが、お客さんのニーズが高いこと、運行ボランティアの人数確保に成功したことにより、平成30年4月に週2回に増便となった。今や、地域になくてはならない存在である。

運行担当岡本さん
運行担当岡本さん

『加工場』

平成29年11月18日に竣工。設立の目的は2点ある。まずは、『ええまち比也野里』がまちづくり団体として経済的に自立する、という点だ。その収入源となる看板商品の開発に乗り出した。

2点目は、6次産業化(※3)である。1次産業は農業が、3次産業は『へそ・で・ちゃ』があったことから、残る2次産業にも取り組もうということとなった。

メイン商品は比延の特産品である、金ゴマとキクイモを使用した『万能だれ比也野』。

万能だれ比也野
万能だれ比也野

工場の開設と共に導入された生ゴミ処理機。喫茶や工場ででた生ゴミを分解して液肥にする画期的な機械だが、今はまだ調整中…
工場の開設と共に導入された生ゴミ処理機。喫茶や工場ででた生ゴミを分解して液肥にする画期的な機械だが、今はまだ調整中…

加工場内の様子。
加工場内の様子。

もともとは、メンバー内で、集まる際に食べていたものであった。とても美味しいと評判であったため、商品化しようという運びに…。1度の製造でわずか36本しかできないという貴重品で、『へそ・で・ちゃ』や道の駅に並べた途端に、売り切れる大ヒット商品だ。焼き肉のたれに使用してもよし、野菜スティックをディップしてもよし、炒め物に和えてもよし…まさに『万能』なのだ。

そして、今まさに開発中なのが、西脇市の特産品である「いちご」を使用した商品だ。2名のスタッフが、最高のジャムを作ろうと試行錯誤を繰り返している。

できたてほやほやの『万能だれ』が並んでいる。たれの横には、研究中のイチゴジャムが。
できたてほやほやの『万能だれ』が並んでいる。たれの横には、研究中のイチゴジャムが。

『いちごジャム』が完成した暁には、『万能だれ』との2本柱となり、設立目的の「経済的自立」「6次産業化」はもとより、「スタッフ増員による雇用創出」など、様々なプラス効果が大いに期待できる。

加工場スタッフの岡本さん

『他にも…』

比也野里歴史物語

今年で15回目となるメンバーおすすめの人気企画。比延に生まれ育った高齢の方でさえ「初めて聞いた」というような話が飛び出すこともある。 わざわざ帰省して参加する人も現れ、会場のあちこちではプチ同窓会が開かれることも。

サマーバイキング

年に1回、7月末に『へそ・で・ちゃ』でサマーバイキングを開催。何十種類もの料理は、すべて「手作り」。今年好評だったのが、混ぜご飯。

細切りにんじんも、ゴボウのささがきも、フードプロセッサーなんて使いません。手間暇かかった愛情たっぷりのご飯。おいしくて当然!

比也野里歴史物語・サマーバイキング
比也野里歴史物語・サマーバイキング

『ええまち比也野里だより』写真は平成30年度12月版。バックナンバーは比延地区の広報誌ページ(西脇市HP内)に掲載している。月間行事予定の他、イベントの様子など、比延に関する様々な情報が満載。過去に、夏目漱石の記事を載せたところ、遠方に住む夏目漱石ファンの方から、「原本を送ってほしい」との依頼を受けたことも…。耳寄り情報がたくさん詰まっている。
『ええまち比也野里だより』写真は平成30年度12月版。バックナンバーは比延地区の広報誌ページ(西脇市HP内)に掲載している。月間行事予定の他、イベントの様子など、比延に関する様々な情報が満載。過去に、夏目漱石の記事を載せたところ、遠方に住む夏目漱石ファンの方から、「原本を送ってほしい」との依頼を受けたことも…。耳寄り情報がたくさん詰まっている。

『笑顔いっぱい比也野号』の前でパシャリ。
『笑顔いっぱい比也野号』の前でパシャリ。

(取材日 平成30年12月13日)

3つの活動ポイント

  1. 人と人との繋がりを重視し、町に寄り添った活動を行っている
  2. 行政とうまく連携し、活動を行っている
  3. 日々挑戦を心掛け、新規事業の展開を図っていく

ええまち比也野里(ひやのさと)の
ここが好き・いいところ

ええまち比也野里 会長

藤井さん

「恩返ししよう。この想いで前進しています。」

まちづくりに関わり続けて約20年。古希を迎えた今も、第一線に立つ。
「賛成ばかりでは団体として成長できない。だから、色んな意見を大切にしています。さまざまな意見を、次の活動に対するエネルギーに変え、組織運営を行っています。基本、ポジティブですので(笑)」
「若いうちから、少しでもいいから地域と関わってほしいです。」
「1日24時間は皆同じ。睡眠に8時間、自分のために8時間、残り8時間はどうするか。そこは当人次第。家族に4時間使ったとしても、地域に4時間使うことができる。」
「行政との連携をうまくやることが大切です。我々単独での活動には限界があります。補助金はもちろん、市や県、国ではこんなことをやっているという情報やアドバイスをいただくこともありがたいです。」
「現状維持で満足するのではなく、もっと高みを目指して挑戦していきたい。」

ええまち比也野里 事務局長

山上さん

「どうして頑張れるのかって?」「そりゃあ楽しいからですよ。」

平成19年から参加し続けている山上さん。
 「活動は楽しい。携わるみんなの生きがいです。そうでなけりゃこんなに続きません(笑)」
 「いろんな補助金をもらって活動しています。いずれは、自立していかなければならないという思いはあります。でも、人気の総菜やたれの値上げをして、単に収入を上げればそれでよいのか、という思いもあります。なかなか難しいものがありますね。」
「やはり気軽にご飯を食べて、買い物を楽しんでほしい。」
「地域のために何かをしたい、というのが1番の想いですから。」

ええまち比也野里 事務局員

高橋さん

「変わっていくのが本当にうれしい。」

同じ西脇市民だが、出身も現住所も他地区の高橋さん。山上さんに誘われて、比延のまちづくりに参加。
「比延地区のことも、まちづくりのことも何も分かりませんでした。」
「でも、歴史を学び、地域の方の人柄の良さに触れ、会長さんをはじめ、皆さんの頑張りを近くで見ているうちに、比延が大好きになりました。もっともっと素敵な町になればいいな、と思って活動をしています。」
「いろんな経験をさせていただいています。それを活かしながら、地域にあったまちづくりを考えていきたいと思っています。」
「状況に寄り添ったまちづくりが、よりよい発展に繋がる。それが分かってくると楽しいんです。やってきたことが、形となって現れる瞬間はなんともいえません。」
「月に1回は何かしらのイベントがあります。いろんな方に参加していただき、楽しさを共有したいと思っています。」

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