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「ええまち」を
「もっとええまち」に。
西脇市の東部に位置する8町からなる「比延地区」。面積は、阪神甲子園球場約1100個分以上にも及び、市の約3分の1を占める。日本の中心といわれる東経135度と北緯35度が交差することで有名な「日本へそ公園」や、元日にはご来光登山者が多数訪れる、西脇市最高峰の西光寺山などがあり、独特な風情が漂うまちである。
「比延」の名は、播磨国風土記(※1)によると、応神天皇(※2)がこの地で狩りをした際に鹿が「ひひ」と鳴いたことを哀れに思い、狩りを中止したことから、その山を「比也山」、野を「比也野」と名付けられたことに由来する。そして、そのふもとにある町を、「比也野里」と呼ぶ。
現在の人口は3712人で、高齢化率は36.3%。多くの市町村と同様に、人口減少や少子高齢化の波が押し寄せている。
そんな中、『ええまち比也野里』は、日々よりよい比延を目指して奮闘している。
『ええまち比也野里』
平成26年に、「まちづくり協議会(シニア世代中心)」と「まちづくり委員会(ミドル世代中心)」が、ひとつとなり結成された。現在総勢100名を超えるメンバーが、『こみせん比也野』を拠点に、様々な活動に取り組んでいる。
毎年4月には、地元の名産品「高嶋町のタケノコ」の収穫祭を開催し、美味しい天麩羅やタケノコご飯などを振る舞う。アクがほと んどなく、やわらかいと評判で、「今まで私が食べていたのは筍じゃなくて、竹だったの!?」と舌鼓を打つ方も多い。
『へそ・で・ちゃ』
こみせん比也野では、比延のお母さん方のご飯を味わうことのできる『へそ・で・ちゃ』も営業している。営業時間は、火曜日~土曜日の10時~15時30分で、日替りの手作り総菜や、採れたて野菜などが販売されている。飲食スペースもあり、総菜をその場でいただくこともできる。
野菜はもちろん米まで比延地区で採れたものを使用しており、まさしく地産地消。『お袋の味』という言葉がぴったりといえる優しい味。ボリューム満点、栄養も満点だ。
『笑顔いっぱい比也野号』
比延地区には、近くにスーパーやコンビニがない場所もある。そして、車の運転が出来ないため移動手段がなく、生活必需品を手に入れにくい買い物弱者が少なくなかった。
そこで、走り始めたのが、移動販売車『笑顔いっぱい比也野号』。毎週火曜日と金曜日に、ポップなメロディと共に、比延地区8町を周回。お菓子や日用品、そして一押しの手作り総菜が満載で大人気だ。
当初は週1回だったが、お客さんのニーズが高いこと、運行ボランティアの人数確保に成功したことにより、平成30年4月に週2回に増便となった。今や、地域になくてはならない存在である。
『加工場』
平成29年11月18日に竣工。設立の目的は2点ある。まずは、『ええまち比也野里』がまちづくり団体として経済的に自立する、という点だ。その収入源となる看板商品の開発に乗り出した。
2点目は、6次産業化(※3)である。1次産業は農業が、3次産業は『へそ・で・ちゃ』があったことから、残る2次産業にも取り組もうということとなった。
メイン商品は比延の特産品である、金ゴマとキクイモを使用した『万能だれ比也野』。
もともとは、メンバー内で、集まる際に食べていたものであった。とても美味しいと評判であったため、商品化しようという運びに…。1度の製造でわずか36本しかできないという貴重品で、『へそ・で・ちゃ』や道の駅に並べた途端に、売り切れる大ヒット商品だ。焼き肉のたれに使用してもよし、野菜スティックをディップしてもよし、炒め物に和えてもよし…まさに『万能』なのだ。
そして、今まさに開発中なのが、西脇市の特産品である「いちご」を使用した商品だ。2名のスタッフが、最高のジャムを作ろうと試行錯誤を繰り返している。
『いちごジャム』が完成した暁には、『万能だれ』との2本柱となり、設立目的の「経済的自立」「6次産業化」はもとより、「スタッフ増員による雇用創出」など、様々なプラス効果が大いに期待できる。
『他にも…』
比也野里歴史物語
今年で15回目となるメンバーおすすめの人気企画。比延に生まれ育った高齢の方でさえ「初めて聞いた」というような話が飛び出すこともある。 わざわざ帰省して参加する人も現れ、会場のあちこちではプチ同窓会が開かれることも。
サマーバイキング
年に1回、7月末に『へそ・で・ちゃ』でサマーバイキングを開催。何十種類もの料理は、すべて「手作り」。今年好評だったのが、混ぜご飯。
細切りにんじんも、ゴボウのささがきも、フードプロセッサーなんて使いません。手間暇かかった愛情たっぷりのご飯。おいしくて当然!
(取材日 平成30年12月13日)